ARITA's Report from QATAR
有田秀彰プロのレポート第2段!
皆さん、こんにちは。こちらカタールのドーハで行われている『男子ナインボール世界選手権』。現地時間の26日(木)午前11時から始まったベスト32からの試合は、テーブル8台を使って4回転を行い、最終日に残る4名を絞るところまできました。まずはJPBA勢の結果と簡単な内容をお伝えしましょう。
土方隼斗、惜しくも17位タイ
午前11時の最初の回転に登場するのは土方隼斗プロと大井直幸プロ。それぞれの対戦相手はエルマール・ハヤ(フィリピン)と日本でもお馴染みの柯秉逸(台湾)です。
まず、隼斗プロは序盤、動きに固さのあるハヤのミスを確実に得点に繋げ、5-1のリード。ブレイク後の配置に苦しむものの、プッシュアウトも駆使して相手に主導権を握らせずに試合を進めます。一方、大井プロは一進一退の攻防。お互いにミスは出るものの、リカバリーの力を発揮して相手にリードを許しません。
ハヤも意地を見せ、観客の声援も受けて追いすがってきます。展開が変わったのは取り切れば隼斗プロが8-6にできる7番ボールの場面。本人によるとゆっくりだがしっかりとショットできたにも関わらず不運のスキッド。ポケット前に残った7番を入れて、残りの9番も沈めたハヤは勢いを増すこととなります。結果8-11の惜敗。隼斗プロのほうがスキルは勝っていたように思えただけに、相手のハングリーな球撞きにやられたように感じました。
大井も僅かに及ばず17位タイ
その一方で大井プロは相変わらずのテンポの良いビリヤード。台湾の柯選手に対して全く臆することなく軽快なショットを続けているように見えました。大井プロが10-8でリーチをかけた場面、ブレイク後の配置もよく、マスワリでフィニッシュと思われた5番へのポジションが難しくなり、遠いコーナーへ果敢に攻めるもののこれをミス。相手がその後取り切って10-9となります。
交互ブレイクですので、次は柯選手のブレイク。なんとそこでノーイン! 今度こそチャンスを活かして上がりたい場面でしたが、3番と8番のコンビネーションショットが惜しくも外れ、その後を相手がしっかりと取り切り10-10のヒルヒルマッチとなります。最後は大井プロのブレイクでしたが、取り出しが難しく、セーフティー戦を柯選手が制してガッツポーズ。こちらもなんとも惜しい試合でした。
栗林、JPBA勢最高位の9位タイでフィニッシュ
残るJPBA選手は栗林達プロただ一人。日本国内でも東日本グランプリを2連覇し、激戦のステージ1を突破して好調を維持しているように伺えます。ベスト32の対戦相手はギリシャのニック・エコノモプーロス選手。ここ数年で名前を売りだしている難敵です。そんな相手に終始落ち着いてプレーしていたように見えた栗林プロは11-9の接戦をものにしてJPBAで唯一のベスト16に駒を進めます。
そこで待ち構えていたのが、現在アメリカのエースと言っていいシェーン・バン・ボーニング選手。彼はクレバーなプレーもさることながら、特に安定したブレイクに定評があり、テンボールの場合もナインボールの場合も同じように、ブレイクのスピードや1番ボールへの厚み、手球と的球のコントロールの全てが素晴らしいと感じます。栗林プロも意地を見せてくれてはいましたが、5-11で敗れJPBA勢は全て姿を消すこととなりました。
チャイナオープン覇者、張玉龍
この日会場ではさらにもう1回転行われ、ベスト4まで選出します。まずは張玉龍選手(台湾)。今月に行われた『チャイナオープン』のチャンピオンです。さきほど栗林プロを倒したバン・ボーニング選手に11-8で勝ち上がっています。次にオランダの「ターミネーター」ことニールス・フェイエン選手。常に相手を寄せ付けないプレーで好調さを伺わせるばかりでなく気迫も伝わってくるショットを繰り広げています。
あと2名は意外な名前が挙がってきます。一人はアルビン・オーシャン選手(オーストリア)。さらに土方プロを破ったハヤ選手。彼はなんとノンシードでステージ1を突破してここまできました。
さて、いよいよ今日は大会最終日。誰が勝っても初の世界ナインボールチャンピオンとなります。次のレポートでは「世界チャンピオン」の称号を掴むのに至った試合の流れや、ターニングポイントに焦点を当てて皆さんにお伝えしようと思います。