第31回ORCオープン
会場の『高井田ビリヤード』
27日(日)に開催された『第31回ORCオープン』は、大阪ローテーションクラブ(ORC)が主催するオープン戦で、今年で31回目を数える伝統ある一戦だ。創設以来、ローテーションクラブらしく、ローテーション種目を守り続けている点も特筆で、スリリングでスピーディーなゲームは観戦する側も楽しめるものとなっている。
この日は大阪府下3会場で予選および予備決勝が行われ、そこを勝ち抜いた16名の精鋭たちが『高井田ビリヤード』(東大阪市)に集結。5名(女子1人含む)残っていたアマチュア選手はいずれも決勝トーナメント初戦で姿を消して、ベスト8は全員プロが占めて本職の強さを示す格好となった。
女子選手として唯一ベスト8進出の大井由希子
ORCのOGで女子選手として唯一人残っていた大井由希子は、ベスト8でマークアリストテレ・メンドーサ(フィリピン)に敗れて5位タイフィニッシュに。だが女子プロはノーハンデというフォーマットの中、大会連覇を狙う大井直幸と夫婦揃ってのベスト8入りはさすがの一言だった。
決勝戦は川端聡対大井直幸という最高のカードに
そしてベスト4には福本宇太郎に逆転勝ちを収めた川端聡、前出のメンドーサ、野田匡則を下した佐藤正行、そして田中雅明を倒して2連覇まであと2つと迫る大井という面々が出揃う。ここは川端と大井が日本代表格として貫禄を見せ、本大会では初となるファイナルカードが実現。大勢のギャラリーが興味深く見守る中、決勝戦は大井のブレイクでスタート。
1ラック目から川端が見事な取り切り
ブレイクがノーインに終わると、1ラック目は川端がイニシアチブを握って120-0と完全制圧で2ラック目へとつないだ。だが、川端のブレイクもノーイン。しかもハードブレイクがヒットしたため配置は好形に。椅子を立った大井は満面のスマイルと喜びの舞を披露。ちなみにこれは自身のハイラン賞獲得がこの時点で決定したため。
準優勝・大井直幸
そして第2ラックは大井が掌握して120-120とゲームをふりだしに戻してゲームを折り返した。しかし次の大井ブレイクもノーインとなり、第3ラックは大井のコンビネーションショットミスから川端が再び主導権を取る形で、15個をキレイに取り切って最終ラックを待たずに240-120のスコアで優勝を飾った。バンキングから決着まで22分弱、2人の高いスキルを存分に楽しませるファイナルだった。
優勝・川端聡
なお3位タイに入った佐藤も近年の戦績アベレージが高い域に到達していて、更なる飛躍に期待が寄せられる状況。メンドーサは現在は愛知県を拠点に活動していて、日本でスキルを磨いて世界へ羽ばたいたラミル・ガレゴやアントニオ・リニングのような存在になると目されている。
3位タイ・佐藤正行
こうしてドリームマッチさながらのカード、好ゲームで幕を下ろした今年のORCオープン。その陰には準備から運営に奔走したORCのメンバーの力があったことも忘れてはならない。表彰式後の川端談話(要約)は以下の通り。現場でこのコメントを録っている時の様子は、プロキャリア20年を迎えようとする男の円熟味を随所に感じさせるものだった。
大阪ローテーションクラブの面々と入賞者達
「今日は予選から先行される展開が多くて、(敗れて)いつ帰ってもおかしくない状況だったので、最後まで居ることが出来て幸せです。ORCの人たちも頑張っているので、僕は出来の悪いOBですが(笑)、何かビリヤードを盛り上げることに連携していけたらいいな、と思っています。ローテーションゲームは一瞬のミスで負けることもあるから、今日もメチャメチャ緊張していました。この緊張感(精神状態で撞けること)は、とてもいい練習になります。大会を開催して盛り上げてくれたORCと関係者の皆さん、応援してくれた皆さん、ありがとうございました」。
Akira TAKATA