第6期女流球聖戦 球聖位決定戦
第6期女流球聖位は佐原弘子が防衛
第6期女流球聖戦・球聖位決定戦が真の死闘であったことは、勝敗に関係なく両選手に贈られた大きな拍手が物語っていた。
昨年に続いて最終ラックをマスワリで決めて防衛を達成した佐原弘子は、かつて見せたことのない満面の笑みと大きなアクションで喜びを表現した。それは長い1日の戦いが彼女にとっていかに過酷であったかを示していた。
この日何度も、繰り返し行われたバンキング
当代最強女子アマ・佐原をそこまで追い詰めたのが挑戦者の平口結貴。彼女は、若くてイキのいい選手、という次元ではなかった。的確な攻守のジャッジ、重圧に負けない大きなフォーム、安定したシュート力、クッションの精度など、どれをとっても周囲の想像を超えるものだった。それを最も強く感じたのが対戦相手の佐原だったに違いない。
フルセットのフルゲーム。まさに最終ラック。そのブレイクは佐原。「ブレイクスクラッチだけはしないでくれ」。そう願いを込めて放たれたブレイクはヒットして、今日一番の好配置に。まるで佐原が精神的に追いつめられながらも、逃げることなくテーブルに毅然と向かい続けたことへのご褒美であるかのようだった。
平口結貴、女流球聖の挑戦は"ひとまず"あと一歩のところで終演
そして佐原は丁寧に取り切って2度目の防衛を達成した。中継の解説を務めた川端聡プロや大井由希子プロをも唸らせた名勝負。12時間を超える時間、黙々とボールを沈め、ゲームの流れを引き合った2人の戦いについては、あらためて詳しく記すこととしたい。
佐原の「更なる高み」はどこまで続いているのだろうか!?
長い1日を終えて今言えることは、今日の体験が佐原を『更なる高みへ』と向かうための計り知れない経験値となったこと。そして平口がこの2日間で見せた『進撃』は、決して『小娘』といったカテゴリに収束するレベルではなかったということ。そして防衛を達成した佐原の最強伝説は続き、平口の進撃伝説は幕を開けたところではないだろうか。
笑顔で記念撮影
死闘を演じた佐原と平口が、終了後に仲良く記念撮影をしたり、連絡先を交換し合う姿はまさにノーサイド。全力で闘い抜いた2人のヒロインは爽やかな風を残して会場を後にした。
Akira TAKATA
【第6期女流球聖戦・球聖位決定戦PHOTO】