第23期球聖戦・挑戦者決定戦
第23期球聖戦、挑戦者は大坪和史
4月5日(土)、第23期球聖戦・挑戦者決定戦が埼玉県『ビリヤードクラブ5&9』にて開催された。ここに東日本代表・中野雅之と西日本代表・大坪和史が相見えた。どちらも厳しい試合をくぐり抜けてこの挑戦者決定戦の舞台にまで上がってきた申し分ない腕を持ったトップアマだ。
会場は埼玉県所沢市の『5&9』
この試合、会場には中野の所属する『東京ポケットビリヤード連盟(TPA)』のメンバーが多く訪れ大きな旗や横断幕も張られた。試合中も中野の一撞に声援が飛ぶ。さらに家族の声援も加わって、会場の雰囲気はまるで中野のホームかのよう。
それに対して広島からやって来た大坪。そんな会場の雰囲気にも呑まれるような様子はない。第17期球聖が復位を目指す勝負に駒を進めるのだろうか。
挑戦者決定戦は4月5日、正午にスタート
12時からの開会式を終え、ナインボール3セット先取(1セットは7ゲーム先取)の戦いが始まった。どちらに行くかわからない勝負の流れ、その第1セット、3-3と競り合っていた第7ゲームに一気にその流れを掴んだのは大坪。互いに譲らぬセーフティ戦を制し、リードを奪うとそこから2度のマスワリを含む4連続得点で第1セットを先取する。
優位に立った大坪、勢いそのままに一度も中野にリードを許さずに第2セットも7-2として王手をかけた。大坪は精密な技術で相手を寄せ付けない。さらに運もかなり大坪に傾いていたようにも見える。2セットを取られ、苦しい戦いとなった中野であるがやはりそう簡単に勝ちを譲る訳もない。
先行したのは大坪。精緻かつ大胆なプレーでセットカウントを2-0とする
迎えた第3セット、第1、3、5ゲームとマスワリを続ける大坪。しかし慎重でありながらも時にはアグレッシブなボールさばきで大坪に食らいついていく。大坪が取ればすぐに中野が取り返す。応援団の後押しも受けて一歩も譲らない。ついにはこのセット、ヒルヒルにまでたどり着いた。
この日、一度も自らのブレイクターンのゲームを落としていない大坪であったが、取り出しが隠れ、シュートアウトからセーフティ合戦に持ち込むものの、最後は中野がこのセットを気力でモノにした。このセット奪取で中野の応援団もさらに盛り上がりを増し、追い上げムードが高まる。
追い詰められた中野だったが、決して諦めない心と会場からの声援を力にした
その雰囲気のまま突入した第5セット、前セットの勢い衰えない中野は5-1と大坪を引き離すが、そう簡単に決めさせてくれない大坪。第7ゲームをマスワリで得点するとそのまま5連続得点で再度王手6-5と逆転リーチ。しかし中野も食らいつき2セット連続のヒルヒル対決となった。
大坪のブレイクのこのゲーム、これまで張り詰めた戦いを続けてきた中野に痛恨のミスが出てしまう。1番ボールでチャンスを得た中野だったが、2番ボールへのポジションで手球がポケットの角に当たって隠れてしまう。ここでジャンプショットに行ったのだがこれがノーヒットファウル。そこを大坪がきっちり取り切り勝負アリ。第23期球聖戦・挑戦者は広島の大坪和史となった。
中野とTPA応援団。惜しくも敗れたがその戦いは素晴らしいものだった
試合後、「ブレイクに苦しんだ」と語った中野。この日、マスワリを連発した大坪とはそこで差が開いてしまったか。大坪も「3セット目からは中野君にペースを掴まれてしまった」と言う。ほとんど単身でやってきた埼玉で非常に苦しい試合をすることになったが、その高い技術で勝利にたどり着いた。
挑戦権を得た大坪。明日も激闘必至!