第23期球聖&第6期女流球聖戦・西日本A級戦
第23期球聖戦西日本代表・大坪和史(広島)
過酷にして熾烈なバトルを制したのは、前評判でも本命格の1人とされた強豪選手だった。3月23日(日)に大阪の『高井田ビリヤード』(女子は『マグ・スミノエ』)で開催された『球聖戦&女流球聖戦・西日本A級戦』で、決してロングゲームとは言えないフォーマットのトーナメントを大坪和史(広島)と川畑真希子(沖縄)という実力者がそれぞれ頂点へと駆け上がった。
第6期女流球聖戦西日本代表・川畑真希子(沖縄)
大坪は第17期(2006年)の球聖位であり、第8期(1999年)にも西日本代表となった選手。それ以外にも第40・41期(2000〜2001年)名人位、2006年マスターズ優勝など、アマチュア全国大会だけで両手を超える数のファイナル進出経験を持つ猛者として知られる。また1999年には全日本ローテーション(全国オープン戦)、2001年には西日本グランプリの前身である『西日本プロツアー』でも優勝を果たしているから、いかに突出した存在であるかは戦績が証明するところ。今回の会場でも「同じ時代にプレーできて見られることが幸せ」という声まで飛び出していたから、アマチュア界において神格化していると言っても過言ではないだろう。
女流球聖戦西日本代表となった川畑真希子も、第6期にして既に2回目の西日本代表(前回は2011年)だ。沖縄県内で猛者たちに揉まれた彼女の実力は、沖縄県内はもとより、全国の女子選手が認めるところで、過去のA級戦では会場に訪れたとある女子のトッププロに「上手い!」と言わしめたほど。ひとたびコンディションを掴めば、主導権を手放さないゲームを展開するプレイヤーだ。
球聖戦・西日本A級戦ベスト4は、左から3位タイ・岸田義晴(広島)、優勝・大坪、準優勝・末広信也(兵庫)、3位タイ・小川敬之(山口)
今回は男子64名、女子16名の西日本強豪が集う中で、2人は揃って予選から無敗のまま代表権を獲得するに至った。男女ともに交代ブレイクが採用され、決勝戦で大坪は7先で1-5というビハインドから、川畑も6先で2-4という劣勢から、それぞれ自力で流れを引き込んで逆転勝ちに成功。なお準優勝は末広信也(兵庫)と中村舞子(長崎)だった。
大坪は「他のタイトルと別段意識に差はありません。次の試合(挑戦者決定戦)に向けて体調を整えて臨みたいと思います」と冷静に語った。一方、川畑は「3年前(東西代表戦)のことをずっと苦しくひきずってきたので、本当に嬉しいです」と2度目の栄誉に喜びを表した。
女流球聖戦・西日本A級戦ベスト4は、左から3位タイ・本田愛(熊本)、優勝・川畑、準優勝・中村舞子(長崎)、3位タイ・松房ゆかり(和歌山)
2人は4月5日(女子は12日)に行われる『挑戦者決定戦』で、既に東日本代表に決まっている中野雅之(東京)と平口結貴(北海道)と対戦し、その勝者が現球聖位の喜島安広、現女流球聖位の佐原弘子と頂上決戦を行う。今年も素晴らしいキャスティングが出揃った。2013年、球聖位、女流球聖位は動くのか、それとも留まるのか。伝統ある物語が、いよいよクライマックスを迎える。
Akira TAKATA