Player Pick up 赤狩山幸男
赤狩山幸男の優勝で幕を閉じた東日本グランプリ第1戦(大会記事はコチラ)。決勝日はほぼ全ての試合において、普段なら確実に決めているショットが外れ、想定したポジションには出ず、理解に苦しむスクラッチが出場16名を苦しめていたという印象。
そんな中だからこそ、決勝に勝ち上がって来たのは赤狩山と山本久司といういずれも劣らぬキャリア・実績十分の百戦錬磨だったというのは偶然ではないはず。皆に平等に起こっていた"アクシデント"を「どう乗りこなすか」「いかにリスクを想定しておくか」がトーナメントのキーだった。
山本久司とのファイナルはこの日一番苦しい試合だったという
赤狩山はこの日、ファイナルと
嶋野聖大戦(ベスト8)の2試合でヒルヒルを経験。いずれも前述のアクシデント絡みの、『luck(ラック)/幸運』と見ることも可能な勝ち方だった。一方で、対戦相手のプレー選択にアクシデントへのケアが最後まで十分だったのか、『lack(ラック)/欠如』していたのではないかと捉えることもできる。
大会などで勝負を決する時、全体的にそれぞれがベストを出し尽くして競い合う流れと、逆に全てが悪い方向への向いてしまう流れという2パターンが往々にしてある。今回のGPE1は紛れもなく後者で、そのマイナスをどこまで食い止めることができるかという戦いだった。
予選からの2日間、ブレイクに苦しみながらも頂点へ
赤狩山にとっては、この日のブレイクがまさにそれだった。ファイナルの山本戦では、ほとんどがノーイン。プレーのオンとオフが完全に入れ替わるビリヤードの場合、極力避けたい状況であるが、それでも我慢のビリヤードで最終的に勝利を掴むあたりは、世界を制した男の不断の練習、そこから得た自らへの信頼の賜物。
「内容が良くなくても勝つ」、それが強さ。この日会場周辺に一日降り注いだ雨は、そのプレーを"しっとり"と形容される赤狩山にはおあつらえ向きだったのかもしれない。
以下は、赤狩山のコメント。
--大会を振り返って
「昨日の予選も今日、あまりイメージはよくなかったです。悪いなりにまとまったゲームはできたと思いますし、気持ちだけは強く持ってプレーしました」
--1番キツかった試合は
「ファイナルです」
--ブレイクに苦戦されている印象でしたが
「そうですね。昨日(予選)からです。もう永遠のテーマですね。最後まで合わせることができませんでした。色々試してはみたんですが、なかなか......でしたね」
--全体の出来を点数にすると?
「最後の試合を除けば60点。足りない部分はブレイクだったり、テーブルコンディションに合わせる対応力ですかね。シュート自体はそこまで悪くなかったと思います」
--GPEは2勝目となりますが、1勝目と何か違いは?
「それは特に変わりはなく。"とりあえず"の1勝ができたのはうれしいですね」
--'14年シーズンも早々に結果を出すことができましたが
「そうですね。(シーズンの)今後の大会に挑みやすいと言いますか、少しは気は楽になりました。ホッとしたというところですね」
--最後にWeb、本誌読者、ファンの皆さまへのメッセージを
「何とか1回は勝てたんで、その次も、その次も優勝狙って頑張りますので応援よろしくお願いします」
本人にとっては「とりあえず」の1勝。だがこの勝利の持つ意味は大きい