そこで見たオリジナリティの大切さ
兵庫県伊丹市の『アスリートジャパン』
『関西オープン』の翌日に兵庫県伊丹市の『アスリートジャパン』で湯山功プロ(日本プロポケットビリヤード連盟[JPBA]。以下プロ全てJPBA)による『キュー切れ講座』が開催された。同時に平林英里子プロによるチャレンジマッチが行われ、さらに当日は同店専属の元廣麗子プロも顔を出し、各テーブルでキューを交えつつ、参加者の多くが湯山プロのキュー切れに感嘆の声を上げていた。
神業を披露した湯山プロ
これは昨夏から同店経営陣の1人として加わった岩崎智哉氏が「元々、湯山プロの大ファンで、知人を介して実現した」というもの。そして「せっかくだから」と呼びかけを行った結果、『ニューアート』『MEZZ CUE』『ZAN TIP』各社の協賛を得て、キューやグッズの展示即売会も実現。イベントに訪れた人の多くが目の前に並んだキューやグッズを手に取り、中にはプロの助言を受けてキューを購入する人も。
湯山プロのキュー切れに熱い視線が注がれる
岩崎氏はもちろん、同氏が地元の茨城から招いた店長もビリヤードプレイヤーだが、「このイベントはこの半年でもっともビリヤードマニアを対象にした」ものだと言う。聞けば普段は「お酒と音楽、そしてビリヤードとダーツを楽しめるよう」地元の若い人を対象とした企画を行ってきたとのこと。同所で継がれてきた10年以上のビリヤード場の歴史の中で、この半年間に大きな方向転換を行ったことも窺える。
平林プロは衣装をバッチリきめて、チャレンジマッチ
そのきっかけは「ファミリーレストランや大規模遊戯施設に行くと、地元の若い子たちがたくさんいて」同店の潜在顧客であると感じたこと。そこから岩崎氏は「こんな遊びをしましょう」という提案型のイベントを企画。「お酒や音楽を楽しむなど大型の施設でできない遊び」に特化させることに専念した。結果、約4ヶ月で20人以上が初めてのマイキューを購入するなど、ビリヤード普及に大きな成果を挙げている。
皆揃って「AJ」。エアー・ジョーダンではなく、もちろん『アスリートジャパン』
これまでにもハロウィン、バドガール、そしてクリスマスには「サンタのコスプレをしてきた女性は1000円で飲み放題遊び放題」といったイベントも開催。大きな反響を呼び、今では「誰かいるかな?」と若い客層が次々に顔を出すようになったという。ビリヤードへ引きこんだ秘訣については「1人でハマってもダメ。みんなで一緒に覚えること」に重きを置いたとのこと。
そんな同店では、今晩も『アソバナイト』という企画が開催される。男性2500円、女性2000円で飲み放題遊び放題。時間は20〜27時。お酒といっしょにビリヤードやダーツを楽しんでみたいという人は、訪れてみてはいかがだろう? 初めての人はお店の人に「ウェブキューズを見て来た」と伝えれば、きっと親切なスタッフが素敵な空間へと導いてくれるに違いない。
1月31日(金)、今夜は『アソバナイト』
湯山プロと平林プロは「トーナメントでも活躍したい」と揃って今シーズンへの意気込みを語る。だが本誌でも『極ポジ』で連載をしていた、特異なまでのキュー切れの持ち主である湯山プロ。常にプロとして見られることに高い意識を持ち、ファンが喜ぶコミュニケーションを続ける平林プロ。ビリヤードの入り口機能を模索して新しいスタイルを構築するアスリートジャパン。それぞれ立場は異なれど、オリジナリティの大切さを示す機会にもなったことは間違いないだろう。
なお参加者からは「これまで様々な意見があって迷っていた部分に1つの明確な答えが得られた。聞いたことを練習で身につけたい」「何を質問しても明快な解答でわかりやすかった」という声が聞かれ、今回はプレイヤー向けのイベントとしても成功を収めた様子だった。
Akira TAKATA