プロゲームズ・オブ・プール フレクシェカップ2013
大会入賞者。左からAAR特別賞の河原千尋、3位タイ・大井直幸、優勝・羅立文、準優勝・田中雅明、3位タイ・土方隼斗
年の瀬も迫った日曜日、みなとみらいにある『クイーンズスクエア横浜』はたくさんの人々で溢れていた。青と緑のラシャを張った2台のビリヤードテーブルが設置された特設会場で12月15日『フレクシェカップ』大会2日目が開催された。赤いマットが敷かれ、たくさんの照明に照らされたその場所は自ずと注目を集め、買い物客達がふと足を止めていく。「あれ、なにやってるの?」「すごーい!こんなところでビリヤードの試合してるよ!」
午後から夕方にかけ、思いがけないビリヤードに大勢の買い物客が足を止めた
注目の的となった「競技ビリヤード」、JPBAのプロフェッショナルプレイヤー達は「プロ」の名に恥じない堂々とした立ち振る舞いを見せ、華麗なプレーで魅せた。豪快なブレイクからのあっという間のランアウトや繊細なセーフティ合戦、アッと驚くジャンプショット。この試合を見るために集まってきたビリヤードファンはもちろんのこと、偶然立ち寄った買い物客もその一球一撞に釘づけになった。
地元横浜で家族が見守る中、今シーズン初の「優勝」を手にした羅
「へえ、あの人達みんなプロなんだ」「すごいよね、一つ球を入れた後にその次のために白いのもちゃんとコントロールしてるんだって」。そのプレーは果たして魔法のよう見えたのだろうか、精密機械のように見えたのだろうか。いずれにしても初めてビリヤードの試合を目にした人々にその魅力や奥深さの一端が伝えられたのではないだろうか。
ビリヤードの精緻な技術を存分にアピールした京都の「手球職人」田中が準優勝
また、計7試合が行われたこの日、その合間にはメインMCの堀潤さんとアシスタントを務めた野内麻聖美(JPBA)の進行によって、プロによるトークショー、解説付きでのナインボール実演などの様々なサブイベントも行われ、こちらも大きな注目を浴びていた。
サブイベントには栗林達、川端聡も登場。写真は野内のトークと共にトッププロのテクニックを披露する栗林
さらに、今回の大会ならではのゲームも見ることができた。準々決勝、2013年女子ランキング1位の河原千尋と大井直之との試合だ。女子と男子のプロ同士の真剣勝負となるとなかなか見られるものではない。結果から言うと7-9で河原は敗れたのだが、大井を最後まで追い詰める素晴らしいゲームを演じた。河原は閉会式で、当日急遽追加されたフレクシェカップ協力団体の『NPO法人難民を助ける会』による特別賞、AAR賞を受賞し、観客達に女子プロのレベルを見せ付けた。
大井vs河原。この日のベストバウトと言っても良いほどの熱い戦いとなった
そして閉会式で今回中央に立ち、「クイーンズスクエアの王者」となったのは横浜在住で地元開催に燃えていた羅立文であった。決勝戦の相手は田中雅明。すっかり日も沈み、買い物を終えて帰宅しようかという人々がそこに吸い寄せられ、たくさんの人々がぐるりとテーブルを囲む。
ビリヤードファン、そして通りすがりの買い物客達が人垣を作る中で行われた決勝戦
その中で2人はこの競技ビリヤードの魅力をアピールする2日間の大会の締めくくりとして申し分のない好ゲームをみせた。ビリヤードファンもふと立ち寄った観客もそのプレーに大きな拍手で応えた。最高峰のプロ達が共演する『フレクシェカップ』は大成功のうちに幕を閉じたと言っても良いだろう。
初めて見るビリヤードに釘付けの子供達。1日を通してこのような光景が多く見られた
この日最も印象的だったのは、恐らく初めて見るであろうビリヤードのプロ達に熱い眼差しを向ける小さな少年少女の多さだった。これはこのような商業施設での開催ならではのこと。彼らがフレクシェカップをきっかけにこの世界に興味を持ってくれたのなら、ビリヤードの未来はきっと明るいものとなっていくだろう。
大会ベスト8の選手達。中央の2人がMCを務めた堀潤さんと野内麻聖美
■大会結果
優勝:
羅立文
準優勝:
田中雅明
3位タイ:
土方隼斗、
大井直幸
5位タイ:
竹中寛、
河原千尋、
塙圭介、
有田秀彰
9位タイ:
川端聡、
赤狩山幸男、
栗林達、
梶谷景美、
嶋野聖大、
菅谷慎太郎、
西尾祐、
渡辺剛史
M.Kitamura