サークルからビリヤード協会へ
北海道室蘭市に『Team ZION』(以下、ZION)というビリヤードサークルがある。だが、室蘭には現在ビリヤード台を設置している店舗がネットカフェ1店舗(4台設置)しかなく、今年の4月に隣町にあったネットカフェ(2台設置)も撤退したばかりで、彼らは「町からテーブルが消えてしまう」という危機感と隣り合わせで活動を続けてきた。
室蘭市を拠点に活動する『Team ZION』
ある日、プレー環境を求めてサークルの代表・小山田朋子さんはメンバーと共にテーブルが設置されている『室蘭総合福祉センター』を訪れた。室蘭総合福祉センターとは、市内在住の60歳以上、障がい者、母子家庭といった境遇にある人々が利用可能で「市内に住む高齢者に健康の増進、教養の向上、およびレクリェーションのための場を提供」している施設である。キャロム2台とポケット1台が設置されており、小山田さんは母子家庭のメンバーと共に一般利用者として同地を訪れたのだった。
そこで他の利用者達と初めてコミュニケーションをとった時、ビリヤードにとって一番大切な"楽しむ"ということを小山田さん達は思い出させてもらったと言う。その時、利用者達から「今まで誰もこうやって来てくれなかったよ」、「俺らいつも居るからよ、いつでも来いよ」、「また今度教えてくれ」など、自分達の存在を"必要"とされた。
そうした出来事をきっかけに、小山田さんを中心としたZIONのメンバーが新たに『室蘭ビリヤード協会』を発足して、室蘭市体育協会に加盟して行くことを目標として立ち上がった。目的はテーブル設置店が少なくなっている室蘭で、競技自体やビリヤード台の設置店の増加など、地域の"ビリヤード環境"に活気を取り戻すため。そして、サークルよりも大きな規模でビリヤードを普及活動を展開するためだ。
実際に北海道・遠軽町(えんがる)の遠軽ポケットビリヤード協会(EPA)の事務局長・吉村憲彦さんの協力を得ながら、協会発足のために動き始めた。
そして地道に活動を続けてきた結果、ZIONのメンバーと室蘭市の一般ビリヤード愛好家がタッグを組み、遂に来月11月1日に室蘭ビリヤード協会(MBA)を発足させる運びとなった。これから、室蘭市体育協会に加盟申請する予定だという。
1サークルが独自に始めた活動ではあるが、今後、室蘭においてどういう広がりを見せて行くかに注目していきたい。
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