東日本グランプリ最終戦
最終戦優勝で年間MVPを決めた栗林達
2013年の東日本グランプリ・ポイントランキングは大混戦の中で最終戦を迎えた。10月27日、東京都港区の『バグース六本木店』で開催された『東日本グランプリ第7戦』。前日の予選でポイントランキング1位を走る赤狩山幸男が敗退。他の選手に年間MVPのチャンスが広がった中、今年の東日本のNo.1プレイヤーが決まる試合はビリビリとした緊張感の中で始まった。
会場となった『バグース六本木店』
この日は初戦から大注目のカードが組まれた。安定した結果を残してポイントランキング2位につける
羅立文と、第6戦の優勝で一気にランキングを4位にまで上げた
栗林達の対戦だ。年間MVP獲得のためには互いに絶対に負けられないゲーム。序盤から羅がエンジン全開で一気に5-1と差を広げ、このまま走るかと思わせたが、栗林が粘り強く追い上げ、流れを引き寄せる。遂にヒルヒル(7-7)となった最終ゲーム、羅のブレイクはノーイン! そこを見逃さない栗林が取り切って見事勝ち進んだ。
3位タイの土方隼斗
ここで勢いを付けた栗林は次戦で今大会のベストアマとなった小川徳郎を8-4で破り準決勝に進む。その相手は今年絶好調、現在日本ランキング1位の
土方隼斗。土方はこの試合に勝つことでグランプリイーストMVPが確定する。
3位タイの早瀬優治
この超人と若武者の試合も大熱戦となった。スタートから栗林が流れに乗って3-0とするが、土方が第4ゲームのマスワリから反撃を開始。ブレイクターンの4、6、8、10ゲームで4連続マスワリを決めて7-4とリーチをかける。しかしここから好調だった土方のブレイクが乱れ始める。逆に当たっていなかった栗林のブレイクが決まり始め、土壇場から追撃でこのゲームもヒルヒルに。そして最終の第15ゲームは栗林のブレイク。難しい取り出しから見事にマスワリを決めて勝ち上がった。
準優勝の津堅翔
この時点でランキングの行方は決勝の結果で大きく変わることとなった。栗林が勝てばMVPは栗林、2位土方、3位赤狩山。負ければMVP土方、2位赤狩山、3位羅となる。そして栗林の決勝の相手は、緒戦から
細川憲治に8-1、
西尾祐に8-1、
早瀬優治に8-5と小気味いいテンポで勝ち続けてきた
津堅翔となった。
このゲームは最初から強気に攻める津堅が3-1、5-2、6-3とリードを保ち続ける。しかし栗林もやはり負けられない。津堅とは対照的に一球一球を丁寧に粘り強く撞き、ここから6-6に追い付き、さらに逆転でリーチをかける。
左から土方、津堅、栗林、早瀬、ベストアマの小川
しかし公式戦初優勝のかかる津堅も食らいつき、第14ゲームでは渾身の1番縦バンクを決めて取り切り。栗林、この日3度目のヒルヒル戦となった最終ゲーム、ブレイクからきっちり2度セーフティを仕掛けると、津堅は当てるのが精一杯となり配置はオープンに。取り切り体制に入った栗林、これまでのゲームと変わることなくひとつひとつを丁寧に撞き、8番をサイドに沈めたところでようやく笑みがこぼれた。そして9番、10番も沈めた栗林は力強く左の拳を握った。
左から年間ランキング2位・土方、MVP・栗林、3位・赤狩山
苦しい試合を続けた栗林は第6戦からの2戦連続優勝を収め、終盤の大逆転で初めての年間MVPも奪取した。こうして2013年の東日本グランプリは劇的な幕切れを迎えた。毎年、たくさんのドラマを生み出してきた東日本グランプリ。来年はどんな展開が待ち受けているのか今から期待したい。
M.Kitamura