職人技を再現した『匠』
手裏剣の形が印象的な『匠』(写真中央)
タップを中心に、さまざまなビリヤード用品を製造・販売し国内外で人気の『REI TIP』から、タップの側面削り用のタップカッター『匠』が8月25日(日)に発売される。そこで8〜9割方完成(取材日は8月8日)という試作品を見せてもらうため、東京都多摩市にある工房を訪れた。
工房にはおよそ近い完成を目指し、REI TIPの代表・堀内良太郎氏と同タップカッターの設計士である中江衛治氏が最終段階となる打ち合わせを行っている。中江氏は都内の某製作所にて精密機器などの金属部品の製造を行っているエンジニアだ。
肩書きで説明すると重苦しい雰囲気に思えるかもしれないが、2人の関係の基をたどるとそれはよくある「球仲間」。それぞれの得意分野の知恵を併せて、誰にでも簡単に使いこなせるタップカッターを作ろうというのが、約1年前の製品開発の始まり。
先角を水平にする工具もセットも付属
それも「自分のキューに取り付ける大事なパーツ(タップ)なんだから、自分で取り付けできた方がよりモノへの愛着も湧くし、プレーへのパッションにもなるだろう」というプレイヤー目線からの話だ。
「匠」は海外をターゲットとしつつ、国内でも展開していくという。そこで製品の形状は欧米などを見据え「手裏剣」をモチーフとした。そして全てのパーツが「Made In Japan」である。
初回販売分には革製タップ磨きも付属される予定
使用方法、各パーツの役割などはページ下にある動画やREI TIPから発表される製品情報などを見てほしいのだが、どういう特徴を持つ製品なのかを端的に言えば、これまでに仕事の傍らプロやトップアマを筆頭に数多のプレイヤーのタップ交換を行ってきた堀内氏の「タップ交換を行う際の"匠"の技」を再現した製品となる。
中江氏が設計する際に最もこだわった点は、削るタップの側面に対する刃の角度。堀内氏の取り付け工程を研究し、それに近い感覚で刃がタップ側面に当たる角度を追求した。また、先角を傷つけないための工夫にも重点が置かれている。正しい利用法(手間は掛からない)であれば、まず失敗することはないというところまで。
鉛筆削りの要領でキューを回転させると、革が削れた部分がこのように
他にも古いタップを切り取った後に必須の作業、先角の接着面を水平にする工程を簡単に行える工具もセットとして付いてくる。
これらを利用すれば、始めてタップ交換をする人でもRを付ける工程を除くと20分前後(※接着剤を乾かす時間は含んでいない)で行えるという計算。堀内氏が素手で同工程を行った場合が7〜8分。だいぶ本家に近付けているのではないだろうか。
中江氏は日常業務で精密さを求められるモノ造りを行っている立場上「買った製品が使いづらいことほど悲しいことってないんですよね。そのモノを使いこなすための努力って無駄じゃないですか!?」と話す。裏を返せば「匠」の完成度への自信の現れとも受け取っていい。
「匠」の使用には熟練の必要がなく、仕上がりにばらつきが出ないため、店舗などでのハウスキューの管理にも大きく貢献できる。また、来客に貸し出すなどのサービスを実施するなど、さまざまな活用法が考えられることだろう。
詳しい取り扱いなどの情報はREI TIPのオフィシャルブログ(8月14日のエントリー)などにも掲載されているので、ご確認頂きたい。
REI TIP公式ブログ