学生時代の中野は他にも『全日本学生選手権』2連覇や『琵琶湖オープン』優勝など輝かしい足跡を残し、京都ローテーションクラブ(KRC)でも主力格の1人にまで成長した。そして4年間の学生生活を終えて、「就職したら練習時間の制約を受けるだろう。だけどその中で出来る限り続けていきたい」といった旨のコメントを置いて京都を離れ、晴れて一部上場企業の社員になった。
関東で社会人デビューを果たした中野は東京ポケットビリヤード連盟(TPA)に入会した。多忙な仕事の合間を縫って練習を重ね、各種大会で東京代表になったり上位入賞を果たすなど、ビリヤードを愛する男はトップアマとして活動を続ける。
社会人となってからも常にトップアマとしてビリヤードと向き合ってきた
そして結婚。2人の子宝にも恵まれて、幸せな家庭を築いた。今大会ではファイナリストのプロフィール紹介が行われたが、ビリヤード歴や使用キューなどとともに、「好きな異性のタイプ」という設問に「嫁」と答えていた。これには「一球入魂」をモットーとする堅実な男が家族を愛している様子がよく伝わってきた。ちなみにこれは対戦相手の落合健彦も同様だった。
プロ)」と、高校時代にビリヤードを教わった最初の恩師の名を挙げた。さらに試合後の談話から、今回の優勝にも船木プロをはじめ、様々なプレイヤーのコメントを見聞きし、「自分の参考になることを探して取り入れた」ことが大きく影響していたことを明かした。
モットーは「一球入魂」。それは家庭、仕事、球の全てに通じている
仕事、家庭、そしてビリヤード。そのすべてを大切にして、結果を出すということは決して容易ではない。後編では中野返り咲きにいたるまでの背景にスポットライトを当てて掘り下げてみたい。