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過去のニュース(2013年)

2013.06.10 トーナメント

プロプレイヤーの"格"

Player Pick Up 内垣建一

東日本グランプリ第4戦の決勝日。16名だけがプレーを許される舞台で内垣建一は、プロプレイヤーの"格"を、素晴らしいプレーと優勝という結果で魅せてくれた。

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5年ぶりの優勝・内垣建一


同世代である鈴木清司との初戦から世界王者・赤狩山幸男との決勝戦まで、ブレイク、シュート、セーフティからプレーリズムのどれを取っても、この日のプレーは自らのイメージとシンクロし、最後のゲームボールを沈め切るまでブレることはなかった。

「いやあ、優勝はホントに嬉しいです」
ひとしきり会場で祝福を受けた後、いつものように電車で帰路についた内垣は、次々に全国から入ってくる祝いのメールやLINEに忙しく返事をしながら、国内での勝利を素直に喜んだ。

「いくら海外戦を中心にしているとは言っても、国内で全然勝てないんじゃ応援してくれている方々にも申し訳ないですし、今こうやって勝てて、改めて本当に多くの方々に応援してもらってるんだなと感じてます。ありがたいです」

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勝利の瞬間、内に秘めたる想いを露にした


'09年から主戦場を海外に置き、アメリカでは"Tokyo Sensation"のニックネームで大きな存在感を示している内垣だが、国内で最後に勝利を飾ったのは5年前。この期間、内垣は体調を崩し思うようなプレーができない日々を過ごし、復活を遂げて海外で戦績を挙げ、ツアーの合間には沖縄から北海道まで、日本全国へロードの旅に出る生活を送っていた。

苦しい時も、絶好調の時も、海外でも地方のビリヤード場でも、内垣は変わらず自分のビリヤードを貫いた。世界のトッププロだろうと、チャレンジしてくれたアマチュアプレイヤーだろうと、プロプレイヤー・内垣建一として同じように接し、仲間をそしてファンを増やしていった。

独自のスタンスでプロ活動を続ける内垣。それは多くのJPBAツアープロのスタイルとは少し異なっている。だが自身が信じた道を進み続け、そこから得た経験値と全国のファンの気持ちは、確かにこの日、内垣の"格"を大きく押し上げていた。

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その一挙手一投足に風"格"を感じる


相対する二人がキューを交える時、同じテーブル上で戦いながら、プレイヤー同士に直接的な接触のないビリヤード。だが、試合が決し、勝者と敗者が決定するまでの間、目には見えぬプレイヤー同士の"格"は常に激しくぶつかり合っている。

世界タイトル、ランキング、ツアー勝利数など、誰の目にも明らかな実績は"格"を決定付ける要素の一つとなる。ただ、決してそれだけという訳ではない。自身がプロであるために、そしてプロとして成し遂げるために持ち続ける矜持と、一戦にかける想い、背負うものと周囲の期待の大きさが、見る者、そして戦う者の心に響き、総体としてのプロプレイヤーの"格"として感じられるのだ。

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決勝の相手は同じく世界でも戦い続けている赤狩山だった


この日戦った16名のうち、JPBA所属のプロは14名。全員がプロプレイヤーとしてそれぞれの想いを頂き、多くの期待を背負って戦っていた。だからこそプロの戦いは熱く、1回戦から決勝戦まで、どのマッチアップにも時々のドラマを感じることができた。

ただし、この第4戦に限って言えば、プロプレイヤーとしての"格"を最も感じさせてくれたのが、それ故にいつの間にか観客達を虜にし、時の流れや運までも味方にしたのが内垣建一だったのだ。

帰りの車中、そのまま「戦っている姿を見て、今日は"格上感"が出てたと思いますよ」と聞いてみると「いやいや、それって"年上感"じゃないですか」と笑った内垣。次戦、本来ならば優勝者シードとして登場するはずなのだが、海外遠征のために不在となるということだった。やはり内垣は自分の歩むべき道を進み続けている。

それはそれで残念なことだが、ここまでの4戦で4名の優勝者が、それぞれにプロの"格"とドラマを魅せてくれた東日本グランプリの次戦以降がますます楽しみになってきた。