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過去のニュース(2013年)

2013.04.01 プレイヤー

キャリアが咲く、その意味と強さと

Player Pick up  曽根恭子

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昨年に続きシーズン開幕戦を制した曽根恭子

昨日にお伝えした通り『第11回関西レディースオープン』は曽根恭子が10年ぶり2度目の優勝を華やかに飾った。昨年も開幕戦となった『全日本女子プロツアー第1戦』を制して、年間ランキングを3位につけた曽根。しかし昨日は明らかにさらなる進化の様子が窺いとれる戦いぶりだった。

優勝直後にコメントを求めると、「今日はラッキーが多かったですから」と前置きは出たものの、核の部分に大きな意識の変化を感じさせるインタビューとなり、勝因を明確に示す結果に。それは随所に出てきた「今の自分じゃダメだと思って」というフレーズに集約されていた。

「あ、去年も(開幕戦を優勝していたの)だったんだ。全く意識はしていなかったです」

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挑戦と経験。この二つが曽根が進化を続けるキーワードだ

最初に開幕戦Vに話を向けるとこう帰ってきた。そして国内戦開幕までに2つの大きな出来事があったことを明かす。

「男子のプロツアーに出たこと、そしてアムウェイオープンで予選を通過できなかったこと」

男子のツアーに出たことで「私はまだまだだと」痛感した。それも「自分でもまだまだだと思ってはいたけれど、これほどまでにダメだとは」と受けたショックをそのまま練習につなげた。さらに台湾遠征(アムウェイ参戦)では「1年ぶりに見た選手たちが、ビックリするほど成長していて」追い打ちをかけることとなる。

「何が違うのか」と現地でずっと考えて考えて考え抜いた。そして自分の弱さを探し出して、さっそく対処を始めた。「ガムシャラに球対自分、だけを見て」。男子で勝つプロの精神的なスタイルを見付けては取り入れ、ストロークも同様に倣って改良した。 「でもアムウェイでそれを(試合で)出せなかった」から、さらに探求と実践を深めていった。

「今までもやろうとした、やってきた、でも半端だった」
その言葉には前向きに攻める姿勢と、気築いたスキルを守る狭間で揺れた思いも感じさせる。だがケリー・フィッシャー金佳映のレベルを認め、完全に受け入れたことで葛藤にサヨナラを告げた様子。

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大会を通じてスピーディなプレーが印象的であった

周知の通り、曽根には東日本で梶谷景美と2強の時代を経て、アメリカでWPBAのツアーメンバーとして世界のトップとも渡り合ってきた歴史がある。そんな経験値を有するプロが、次なる目標を明確に捉えて、100%チャレンジャーな立ち位置で再起動した。だとしたら今大会1戦の結果云々はさて置いても、頂上への道筋は見えているはずだ。

「ダメな部分を変えないと、この先ついていけないなって」
卑下でも謙遜でもなくチャレンジャーの瞳で曽根は言う。あまりの向上心に燃え上がる様子に、優勝者インタビューとの違和感を感じていたら察知されてしまった。

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男子優勝の土方隼斗と。試合を終えればいつもの笑顔に

「だから、今日は本当にラッキーだったんですって!」
そう言って、自身の試合内容でラッキーな部分を口頭で並べる彼女を見ていると『キャリアが咲く』というフレーズとともに期待感が込み上がった。

今が何分咲きなのかは、ここからのキャリアで示していくことになるだろう。

Akira TAKATA