3C小森メモリアル
惜しまれながらの引退となった小森純一
病気による体調不良もあり、近年トーナメントの第一線から遠ざかっていた小森純一。1965年にJPBFに入会し、以降、数々の輝かしい戦績を誇ってきた日本屈指のスリークッションプレイヤーが、いよいよ現役引退の時を迎えた。
13日(土)、東京・新大久保の『ビリヤード 小林』で『KOMORI Memorial』と銘打って行われた本イベントは、「ザ・チャンピオンズ倶楽部」が主催。同倶楽部は過去国内3Cシーンで様々なイベントを行なってきたが、名前の通り、参加資格のあるプレイヤーは原則的に「全日本選手権優勝者」または「JPBF年間ランキングMVP」のみとなっている。
会場となったのは『ビリヤード小林』
今回のトーナメントも、現役トップの梅田竜二を筆頭に13名が完全招待制で出場した(※JPBFランキング対象外)。13名は40点ゲームのトーナメント形式で争い、「この試合に合わせてきた」という宮下崇生が一日を通して良く当て、セミ・ファイナルで船木耕司を、ファイナルで森陽一郎を破って優勝した。
トーナメントで優勝を果たした宮下崇生
また、この13名の中にはすでにJPBFを退会、久しぶりに公の場に顔を見せた堀金博の姿もあった。堀金は2試合を撞き、全盛期を彷彿とさせるプレーを見せていた(ベスト8敗退)。
主役の小森はイベント冒頭の始球式(初球を撞いて成功させた)と、試合の合間に行われたエキシビションタイムにキューを持って登場。特に後者のエキシビションでは、13名全員と1イニングずつ対戦するという粋な演出で、ひと目その姿を見ようと訪れた大勢のギャラリーに衰えることのないキュー捌きを披露し、会場を大いに湧かせた。
エキシビションでは久々にファンの前でプレー
「このようなイベントを開いてくれて感謝の気持ちで一杯です。始球式で撞いた初球は大変緊張しましたが、当たりましたねぇ(笑)。素直な気持ちでキューを振ることができました」(小森)
JPBFから小森純一という偉大なプレイヤーが退くこととなり、梅田以下、後輩プロ達は気持ちを新たにしていた。
「『ニッポンスリークッションを任せたぞ』と託された気持ちです。まだまだ未熟ではありますが、少しでも小森さんの業績やお人柄に近付けるように努力したいと思います」(梅田)。
功労表彰には同時代を共に戦ったライバルにして盟友の小林伸明も駆け付け、小森と握手する一幕もあった。小森は多くの後輩プロとファンに見守られながら、最後まで背筋を伸ばして笑顔のまま現役を退いた。
T.KOBAYASHI(B.D.)