第30回ORCオープン
ORCオープンを制したのは大井直幸!
4月28日(日)に『高井田ビリヤード(大阪府東大阪市)』(予選は『ビリヤード玉出ACE』併用)において、『第30回ORCオープン』が開催された。今年は30回を記念して完全なオープン戦としたため総勢97名の選手を迎え、参加者たちは240点先取のスリリングかつ見せ場の多いローテーションゲームを楽しんだ。
会場は大阪府東大阪市の『高井田ビリヤード』
決勝シングルはベスト16から。ダブル・イリミネーションで行われた予選では、第45-46期名人の田中裕也が「遂に大井君(直幸・JPBA)に勝った」と喜びを爆発させるも、大井は敗者側からきっちりと決勝トーナメントに進出。そして、「どのゲームも負けていた」といずれの試合でも相手選手に勝機があったことをコメントしつつ、結局、今回もまた会場は大井劇場と化して、盛況の中で大会は幕を下ろした。
大井は決勝初戦で清川正士を240-133のスコアで凌ぐと、ベスト8戦では日本語とジャンプショットが得意なE・ペレス(フィリピン)と対戦。両者笑顔のバンキングでスタートしたゲームは拮抗したスコアで進行。途中、大井のコンタクトレンズが外れるというハプニングに、由希子夫人(JPBA)が洗浄液を差し出すと、「ちょっと家に帰ろうか」とギャラリーを笑わせつつしっかり勝利をおさめる。
さらに準決勝では主催するORC所属の山岡修二とのゲームで184点のハイランを叩き出して、世界レベルのビリヤードを披露した。敗れた山岡も終了後に「簡単に撞いているようで、組み立てやポジションは緻密。そして何よりブレイクで的球を理想の形に散らせている」と感服。この話にORCの重鎮・村上泰辰が「膨大な量のブレイク練習をしているらしい」と情報を寄せ、あらためて大井の強さに裏付けがあることをORC会員内で共有していた。
そして決勝戦の相手は開催店所属で昨年の本大会優勝者である杉原匡。ベスト8では前出の田中との激闘を制し、また準決勝ではM.A.メンドーザ(フィリピン)を240-30と圧倒してきており、今年の『全日本オープンローテーション選手権』覇者である大井との頂上決戦に注目が集まった。
昨年の覇者杉原が大井とのファイナルに臨んだ
ワンラック目を大井が15球取り切って120-0とするも、以降は両者に好機が訪れる展開に。しかし『終わってみれば大井』。これはこのゲーム、この大会に限らず、近年のトーナメントの多くで見られる現象だ。時にアクセル全開で駆け抜け、時に「さすがにこの試合は負けるか」と思わせても逆転を果たし、結局、大会が終わってみれば大井が優勝。もう何回そんな絵を見たかわからないほどだ。この映像は後日CBNTでも配信予定なので、『終わってみれば大井』を体感していただきたい。
大会ベスト4。左から3位タイ・M・A・メンドーザ、優勝・大井、準優勝・杉原、3位タイ山岡
そして大会が終われば、明るく爽やかな笑いを残して颯爽と会場を後にする。今回もしかり。つい先日に行われた『北海道オープン』ではベスト32で田中雅明に敗れた大井。だがすぐにタイトルと賞金を、さらにハイラン賞のオマケ付きで再び話題の中心となるところに真のスター性を感じさせる。
伝統あるORCオープン。クラブ員の全てが今大会を盛り上げた
準備や運営に奔走して大会を盛り上げたORCのメンバーもまた、前述の通り大井劇場を堪能。JPBA公式戦ではないものの、2月の『京都オープン』に続いて、大井のタイトルコレクションは止まらない。もちろん、この優勝率であればきっと賞金もハイペースでプールされていることだろう。そろそろ『大井が獲っていないタイトル』にプレミア感が出てきそうな勢いだ。
Akira TAKATA