第19回3C東京オープン
見事にプロ初タイトルを手にした萩原孝昌
昨日(10日)、スリークッションの『第19回東京オープン』が萩原孝昌のプロ公式戦初優勝で幕を閉じた。1995年プロ入り(JPBF)の萩原にとって実にプロ生活18年目のタイトルである。
会場の東京『ビリヤード 小林』は、出場選手達が「今日はお客さん、多かったですね」と口を揃えるほどの盛況。'13年のJPBFプロ公式戦のスタートを飾るに相応しい舞台だったのではないだろうか(フォーマットは30点ゲームのシングルトーナメント)。
大盛況となった会場の『ビリヤード小林』
昨年度覇者の
梅田竜二はベスト16から登場し、初戦の相手にその萩原を迎えた。接戦となったこの試合で、梅田は終盤に7点ランを出して先にスリーモアとしたが、萩原が22点からの8点ランで見事に撞き切り勝利を収め、初優勝に向けて大きく前進する(25キュー・30-27)。
萩原は続くベスト8の
小林英明戦にも勝利し(36キュー・30-19)、この日同じく好調の
田名部徳之とセミ・ファイナルで激突した。
この試合は大会ベストバウトだったと言って良いだろう。持ち前のキュー切れと積極性を武器に、序盤で12点ランを叩き出した田名部。しかし、萩原は相手のペースに全く惑わされることなくポイントを積み重ね、最後は7点、9点と当てて上がってみせた(18キュー・30-27)。
自身3度目のファイナルの舞台に立った萩原は、対戦相手に同じく初優勝がかかった
界敦康を迎えた。しかし、萩原はそれまでと変わらず黙々と淡々と1点を当てていく。「冷静でした。球を当てることだけに集中できていました」(萩原)。
惜しくも公式戦初勝利を逃した界敦康だが、ハイアベレージは昨年から続いている
界にもターンは回っていたがランが続くことはなかった。萩原にとっては喜ぶべき展開だが、恐らく萩原本人はこの時、それさえも何とも思っていなかったのではないか。マッチポイントボールを当てたその直前まで萩原の顔に表情らしい表情はなかったが、最後の最後にこの日一番の笑みを浮かべた(22キュー・30-10)。
詳しくは次稿に譲るが、梅田と
鈴木剛という「盟友」が見守る前で鮮やかに勝ち上がった萩原は本当に輝いていた。
「それはもう優勝できて嬉しいです。そしてもっと練習したいと思いましたね。......まず今夜は運転代行を呼びたいと思います(笑)」(萩原)
自ら展開を握り、きっちり当て切って掴んだ初優勝だけに喜びもひとしおのはず。18年分飲んでも、今夜は先輩も後輩も皆、許してくれることだろう。
〈T.KOBAYASHI(B.D.)〉