アダムジャパン杯・第23回全日本プロ3C選手権大会
大混戦のリーグ戦を制したのはベテラン、新井達雄だった
15日~16日、東京都新宿区『ビリヤード 小林』で開催された『アダム杯・プロ選手権』は、優勝争いが最終第9回転までもつれ込むサバイバルトーナメントとなった。フォーマットは9名出場、40点ゲーム・総当りリーグ戦。
会場の『ビリヤード小林』にはJPBFのトッププレイヤー9名が集結
終わってみれば、全勝者なし、7勝1敗者なし、6勝2敗者もなし。なんと5勝3敗に4人が並ぶという史上稀に観る混戦となった。
その5勝3敗の一人である新井が、アベレージ(1.231)で
島田暁夫、
界敦康、
米山聡を上回って栄冠を手にした。アダム杯時代は何度も本大会で優勝した新井だが、「プロ選手権」という形に改題されてからは初Vだ。
準優勝は界敦康
優勝争いがここまでもつれたのは、日本No.1プレイヤー、
梅田竜二がまさかの2連敗スタートだったことが大きい。その後梅田は奮闘して優勝の可能性を最終ゲームまで守り続けたが、その最終ゲームで
小野寺健容に敗戦。一気に5位転落して大会を終えている。
新井も決して特別良い調子で本番を迎えた訳ではない、初日(15日)の成績は2勝2敗。初戦の
竹島欧戦と4試合目の米山聡戦を落とし、
水内誠二には辛勝だった。
迎えた2日目(16日)、新井は梅田との試合は落とすが、界、小野寺健容に勝利。最終ゲームに入る前の段階で、「優勝の可能性のある6名の内の一人」に残っていた。
島田暁夫は最終ゲームで新井達雄に敗れ3位でフィニッシュ
新井の最終ゲームの相手は島田。島田はここで勝てば文句なしの優勝だったが当てあぐねてしまう。一方で「悪いプレッシャーなどほとんどない状態」だった新井が、22キュー・40-15で快勝。この瞬間、一昨年の『全関東3C選手権』以来となる公式戦優勝が決まった。
「ああ、優勝ってこういう感じだよなって思い出しました(笑)。8試合やっていいゲームもあれば悪いゲームもあり、トータルで言えば『そこそこ撞けた』と思います。あまり欲がなかったから運が向いたのかな」(大会後の新井)
これで大会前に3位だった
スリークッション年間ランキングを2位に押し上げることができた(年間MVPは梅田)。
大会出場者。前列左から4位・米山聡、3位・島田暁夫、優勝・新井達雄。後列左から9位・田中正行、8位・小野寺健容、7位・水内誠二、6位・竹島欧、5位・梅田竜二(年間MVP)
「実はそれは気にしていたんです。2位までになっていれば海外遠征のチャンスも増えますしね。やっぱり行きたいですよ」
柔らかな微笑みをたたえ、そう述べた新井。ベテラン、今なお意気軒昂だ。
〈T.KOBAYASHI(B.D.)〉