~第29回ORCオープン取材後記~
5位、19位、3位、7位、19位。
これは『全日本都道府県対抗PB選手権大会(通称:都道府県対抗)』におけるORC(大阪ローテーションクラブ)の直近5年の成績だ。30〜40チーム出場中の順位だからアベレージとして高いのは間違いないが、国内ポケット界の歴史を知る層であれば、「大阪にしてはよくない数字」と見る人も多いだろう。
年に一度開催される都道府県対抗はアマチュアプレイヤー達の大きな目標の一つだ
都道府県対抗で優勝候補と呼ばれる県が勝てなくなって、いや正確には優勝候補とされる県が増殖しアマチュアポケット界が戦国時代を迎えて、久しい。
古豪・京都も'08年に『復活の狼煙』を上げるまで10年を要し、東京や千葉など関東の強豪もそれぞれ'03年、'02年以来となる日本一の座を追い続けている状況。同じく層の厚さで知られる神奈川にいたっては、再々のグループリーグ通過を果たしながらも、実に35年も日本一から遠ざかっている。
この全国制覇の思いは全都道府県各クラブ員(アマチュア連盟員)がモチベーションの源としているが、その中でもやはり大阪の思いは一際だろう。
京都と2強の座を長年にわたって競い合った歴史、ローテーションの本場というプライド、過去に10度の優勝という伝統。そして他地域のレベル向上が彼らのジレンマに拍車をかける。個々の技量が高くとも、その通りの結果にならないチーム戦ならではの傾向も課題として残してきた。
先のORCオープンで3位タイ入賞。ベストアマ賞も獲得した新進気鋭の若手・浜田翔介(ORC)
だが、先の『第29回ORCオープン』の終了後、運営を務めたORCのメンバーが参加した打ち上げの席で新しい風を感じた。本誌記者も招かれて同席を許された場でのことだった。
「ORCにはこうした反省会的な集いが他県に比べ少ないのではないか」。そんな話題に始まり、「あの1球は腹を括ってフリをつけるべきだった」といった技術的な意見交換や「去年の都道府県対抗は初日終了後のムードに問題があった」など、具体的な指針も示された。
層の厚いORC。赤いベストが日本一に返り咲く日も近そうだ
「(勢いのある)よその県は、こうした場の話でも着眼点が違うのかもしれない」という声も出た。「一緒に練習するには何時・何処へ行けばよいのか?」という情報交換もあった。
今年の都道府県対抗では僅か11点差でグループ通過を逃したORCだけに、「どこかで自ら得点を逃したゲームがあったのではないか?」というシビアな指摘も飛び出した。
厚い層を誇り多くの名手を擁する伝統集団が静かに動き始めている。来年の和歌山(都道府県対抗の開催地)は赤いベストに要注目だ。
ローテーションのスリリングな展開は一見の価値アリ。(後日CBNTで放送予定)