Player Pick Up 河原千尋
夕川景子との決勝に勝利し、優勝を果たした
先の『東海レディースグランプリ』を制したのは河原千尋。これで自身シーズン3勝目、そして自らの手で奪い戻した首位の座。名古屋で得たのものは大きい。この時点で、JPBA女子の'12年シーズンはあと3戦のみを残す状況となった。ポイントレースの行方に注目が集まる季節だ。
JPBAが公式に発表しているのは9月4日の時点で、そこでは河原が梶谷に30ptの差をつけて首位となっている。その後に『関東レディースオープン』で梶谷が40pt分リードして、結果10pt差で逆転。そして今回、河原はベスト16で梶谷との直接対決を制し、自身が優勝を果たしたことで、120pt分勝ったことになる。つまり、現時点で110pt差をつけての首位に返り咲いた。
この河原と梶谷に限らず、ランキングレースは終盤に差し掛かると、1戦1戦が競争相手とのポイント差、つまり『引き算の戦い』となってくる。それと同時にプレイヤーには様々なプレッシャーが襲いかかり、シーズン前半を健闘したプレイヤーが大きく成績を崩す例も少なくない。
そんな中で昨シーズンの河原は「2年連続の1位を狙って、そして獲れたことが嬉しい」と本誌のインタビューでも語ったように、重圧を受け止めて結果を出したことは彼女にとって過去最大級の経験値を高める機会でもあっただろう。
梶谷景美とのランキング争いも佳境に突入
今大会でも河原は初日の最終戦(ベスト16)で梶谷と対戦。「そこで勝てたので、このまま優勝しないと良い流れが来ない。そう思って」戦った決勝日に最高の結果を出した。この『流れ』はトッププロが共通して用いるワードで、『勝てる(優勝できる)機会を逃すとその後の流れも悪くなる』、『次に流れが来たら逃さないように』といった表現で使われる。
他のプレイヤーも努力をしている以上、試合では相手のコンディションや小さな運勢で結果は変わる。そんな影響を可能な限り排除できるよう練習で力を蓄え、その上で『流れ』を受け入れようという向きもある。まさに『人事を尽くして天命を待つ』といったところか。
以前から梶谷がそうであったように、河原も自身の戦いを1シーズンというスパンで見るようになった。この傾向もトッププロ特有のもの。2年前に初めて日本一の座に就いた河原が、頂上から見える景色、その位置で戦う中で培ったものに違いない。
この視点で取り組むプレイヤーの練習は濃く、またモチベーションのコントロールも長けてくる。そんな2人が激しく競り合ったままシーズンもいよいよ残り3戦という佳境に突入する。
左から曽根恭子(3位タイ)、河原、夕川、大井由希子(3位タイ)
ただし、残す『全日本女子プロツアー第2戦』(10/6-7・静岡)、『北陸オープン』(10/27-28・石川)は『ジャパンオープン』に次ぐステータスであるG2、『全日本選手権』(11/11-18・兵庫)はSG1という最上位のグレードにあり、付与されるポイント数も大きくなるため、終盤で大きなポイント変動も可能性を残している。
河原と梶谷がこのまま首位争いを繰り広げるのか、それとも、後ろにつける曽根恭子、夕川景子、藤井寛美、大井由希子らの追い込みが見られるのか?
その胸中も察しながら試合を追っていくと、観戦の魅力も増してくるというもの。可能な方はぜひ現場で観戦していただければ、選手たちの情熱が肌で伝わってくるに違いない。もちろんCBNTとウェブキューズでも全戦をフォローしていくので、そちらもご覧いただきたい。