第19回全日本レディース3C選手権大会兼
第4回世界レディース3C選手権大会・日本代表選手選考会
既報の通り、東京・小岩の『ヤマニビリヤード』で開催された『全日本レディース3C』は、肥田緒里恵(JPBF)の優勝で幕を閉じた。
12度目の優勝を飾った肥田緒里恵。次は世界選手権の4連覇を目指す
25点ゲーム・10人総当りリーグ戦という女子公式戦史上最長のフォーマットで争われた決勝ラウンド。肥田は第一試合の久慈薫(JPBA)戦に引き分けたが、あとは全勝。終わってみれば8勝1分けの成績で12度目のタイトルを獲得した。また、6位までJPBF女子プロ勢が占めたことは「順当な結果」と言って良いだろう。
ロングゲームのリーグ戦だったためか、波乱と呼べる波乱はなかった。だが、決勝ラウンドの丸2日間、肥田が現世界女王の力を遺憾なく発揮して完勝......したとは言い切れない。前年度覇者であり今回2位の西本優子との比較で言えば、西本の方がアベレージで大きく勝っていた(西本0.912、肥田0.781)。
ベストゲーム(西本15キュー、肥田19キュー)もハイラン(西本8、肥田6)も西本が上。つまり、「当てていたのは西本」だった。しかし、肥田は最終試合で西本との直接対決を制して優勝する。「負けないのが女王」と形容すべきだろうか。
肥田(左)―西本戦のバンキング。これが優勝決定戦となった
「西本さんを直接倒して優勝できたことはとても嬉しいんですが、何か勝負強さだけで勝ってしまったような、複雑な想いもあります」
大会後、肥田は首を傾げながらそう語ったが、その勝負強さこそが、彼女を3度世界チャンピオンに導いたものに他ならない。一進一退の攻防になった優勝決定戦、肥田の集中力は好敵手を迎えて一際高まっていたように映った。特に最後の4キューの気迫はまさにトップアスリートのもの。「ここからが世界モードの肥田では!?」と思ったところがゴールだった。
もちろん続きは11月の『第4回世界レディーススリークッション選手権大会』(東京)で見られるはず。次稿では、肥田と西本のライバル関係に触れてみたい。〈T.KOBAYASHI(BD)〉
表彰式。前列左より優勝~5位。肥田(緒)、西本、東内、林、福本。後列左より6位~10位。肥田(一)、小林、佐野、井上、久慈(※上位6名がJPBFプロ、7~9位の3名はアマチュア、10位の久慈はJPBAプロ)