ビリヤードの感動、魅力を伝えるということ
TVテーブルを設ける新たな試みも大会の盛り上がりに貢献
静岡県チームの初優勝で幕を下ろした『全日本都道府県対抗PB選手権大会』。この大会の模様は来月に発売されるCUE'S誌面にも大きく掲載される予定だが、感動と興奮の余韻が醒めない内に、報道に携わる立場から団体戦に触れて感じることをここに記してみたい。
静岡の渡邉覚。主将の仕事を存分に果たし優勝へと導いた
試合における緊張感はビリヤードの醍醐味。しかし重圧から逃げる術も私達多くのプレイヤーは知っている。コンディションや展開、相手のリズムもしかり。だが団体戦になると目の前の一球に魂を込めるしかない。己のプライドのため、仲間の期待に応えるため。結果、勝利の喜びを増幅させていると肌で感じる。
京都チームを決勝に導いた上倉淑敬は全勝でMVPを受賞
またチーム戦は個人の戦闘力を超えた奇跡も度々引き起こす。だからこそ強豪チームはさらに高いポテンシャルを発揮しなければ足元をすくわれることも多い。そんな中で静岡チームは優れた地力を、メンバーが一丸となって出し尽くした末の戴冠劇だった。
表彰式での静岡県チーム。全力で駆け抜けた顔が清々しい
今、中国で行われている『世界チーム戦』に日本のトッププロ4人が参戦している。彼らは国を背負い、励まし合いながら懸命に闘っているに違いない。そして、難敵を連破して準決勝進出を果たした。ベスト8で対戦したフィリピンチームなどは、4人全員が世界チャンピオンで、合わせれば幾十という世界タイトルを保有するメンバー。それを打破して。
3位となった東京AチームのVP中村英治
しかし私を含め日本の報道陣はそこにいない。報道関係者や各団体と連携すれば、せめて1人はカメラを持つ人間を現地に送り込めたのではないか、という悔恨に近い感情を今抱いている。結果論ではなく、極度の緊張と最高の笑顔を伝えることが、我々の責務であるからだ。
決勝進出を決めた京都チームは喜びを爆発させた
和歌山でも215名の選手は誰もが締まった顔で「正々堂々と最後まで」闘い抜いた。そのワンシーンを切り取ったものに、ビリヤードの魅力を少しでも感じてもらえたら嬉しい。懸命に闘う姿は、最高の被写体。輝く彼らはビリヤード界最高の伝道師。静岡チームをはじめ全参加者への敬意と、海の向こうで奮闘する赤狩山幸男、大井直幸、栗林達、河原千尋へのエールを込めて。
現在、中国で開催中の『世界チーム選手権』
感動、そしてエンタテイメントという分野ではもっと記したいことはあるが、それは次の機会を待つことにしたい。奇しくも同時期に開催された『全日本都道府県対抗』『世界チーム戦』。団体戦にはビリヤードの本質と魅力が凝縮されている。そう感じた報道陣の1人として。(A.Takata)