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過去のニュース(2012年)

2012.07.09 トーナメント

難しい、でも最高に面白い。

第40回全日本オープン14-1選手権大会

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表彰式。羅の喜びが爆発

19時9分、決勝の舞台「CUE」に雄叫びが轟いた。羅立文が2年ぶり、2度目の頂点に返り咲いた瞬間だった。

7月8日も昨日に続いて渋谷の「CUE」で行われた『全日本14-1オープン選手権』。ベスト16の組み合わせは当日にというグランプリ方式が採用されているため、まず朝は組み合わせの抽選から始まった。

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グランプリ方式は、東日本グランプリではお馴染みのスリリングな当日抽選

その結果、歴代王者対決とベストアマ決定戦が第1回戦で繰り広げられる中、各選手昨日の激戦の疲れが多少感じられ、おやっと思わせる場面こそあったが、しばらく経つとどのテーブルもいつも通りの好ゲームとなった。

その中でもいち早くベスト8選出を決めた羅立文の調子の良さは目立っていた。いつもと全く変わらない集中度でゲームをコントロールしていくスタイルは朝から全開であった。その他にも清川正士の痛恨のゲームボールスクラッチ、高橋邦彦青木亮二との追いつき追い越しのシーソーゲームなど目の離せない試合ばかりで、徐々に会場は決勝日の緊張感に包まれていった。

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ベスト16戦。清川正士は99%勝利をその手にしたのだが......

 

準々決勝ではベストアマ対決を制した寺田友紀が青木との長時間に渡る接戦を制しベスト4に進出し、朝から抜群の安定感を見せていた菅原敏幸もR・エスキリオを振り切り勝利。羅は西嶋大策に一時逆転されたものの再逆転し駒を進め、塙圭介は銘苅朝樹を序盤の大量ランで引き離し、終盤で猛追を受けながらも勝利をものにした。

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この日素晴らしいプレーを見せた塙。決勝ではワンチャンスからの反撃が見たかった......

 

度重なる接戦と熱戦を勝ち抜いてアマながら準決勝に進んだ寺田と羅のゲームは、前半寺田選手の1球のミスから流れをしっかりつかんだ羅が完勝。さすがと言わざるを得ない試合運びだった。もう一戦の塙と菅原の試合は、ゲーム中盤までは同スコアで進む難しい試合になったものの、ここから塙が一気に押し切った。

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羅には完敗であったが、堂々ベストアマ賞を獲得した寺田友紀

 

そして迎えた決勝。去年を知る誰もが途中からざわついていた。その中で羅が100点ラン。圧巻だった。その相手こそ、最もリベンジしたかった高橋邦彦ではなかったが、昨年の雪辱を果たすような完璧なプレーでテーブルを支配。まさかこんなことがあるんだと会場の誰しもが思った瞬間、羅の喜びが爆発した。ただ、そんな「羅劇場」の中でも清く堂々たる眼差しでじっとテーブルを見つめていた塙圭介。この経験がさらに今年の彼を強くすることは間違いないだろう。

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大会上位入賞者。左から3位タイ・菅原、優勝・羅、準優勝・塙、3位タイ・寺田

 

閉会式。横田英樹東日本ブロック長は、羅と共に、攻める機会なく敗れた塙を労いながら、14-1は難しい競技だと語った。その通り、14-1は細か手球コントロール、コンビ、撞きヅラ......挙げればキリがないほどに、ナインボールテンボール主体のプレーだけでは生まれ得ない発想がたくさん埋まっているゲームだ。来年の今大会、観戦、参戦どちらでも構わない。14-1を通じてポケットビリヤードの楽しさと奥深さをぜひ皆さんにも感じ取ってほしい。(kohei.ohki)