プレイヤーピックアップ 梶谷景美
ジャパンオープン女子の部史上最多となる5勝目を挙げた梶谷景美
本誌は「女王」梶谷の優勝シーンに幾度となく立ち会っているが、あれだけ喜びを爆発させた梶谷の姿は初めてだった。何度もキューを振り上げて周囲に頭を下げていた。ジャパンオープン女子の部は、梶谷の'01年以来11年振り、5度目の優勝で幕を下ろした。
第25回ジャパンオープン・女子決勝の模様は、梶谷景美プロ本人と野内麻聖美プロのダブル解説で6月15日、ビリヤードWeb TV『CBNT』で配信予定!
「あのガッツポーズですか。皆に言われました。本当に嬉しかったんですよね(笑)」(梶)
梶谷の言う「嬉しさ」には3つある。一つは、「今日のベスト8からの3試合、どの試合も前半はあまり良くなかったけど」、後半は集中力が発揮でき、ほぼ理想的なフィニッシュができたこと。次に、最近は「新女王」河原千尋との対戦は分が悪かったが、この大舞台のファイナルで河原とのヒルヒルマッチを制して戴冠できたこと。最後に、大阪から東京に拠点を移して約15年。久しぶりに東京のファンや支援者達の声援に応えることができたこと。しかも、またとない形で。
歓喜の瞬間! 梶谷は何度もキューを振りかざした
「ジャパンオープンは決勝日には残るけれども早く負けてしまう、というのが近年多かったですよね。練習通り撞けないのが当たり前。私も毎回そうなってますから。それでも、今回は最後まで気持ちを繋げられたかなと思います」
4月に単身中国に渡り、国際プロツアーで3位入賞。「いちプレイヤーとして色々な気持ちを思い出して帰って来た」と言う。それも間違いなくプラスに作用しただろう。そして、長年「女王」の看板を背負ってきた自負もある。
「女王とか新女王とか、その呼び方には何のこだわりもないですけど、皆さんが『新旧、世代交替があるか?』とか思って観ているのはわかりますよ。でもね、私もまだ踏ん張りたいですね。私が頑張ったら、みんな見ててくれるのかな?」
その時、さっぱりした顔で控え室に入って来た河原が言う。
「見てますよーーー!」
河原ら次代を担う選手達も育ってきているが、日本の女王はまだまだ休めなさそうだ。次は『女子世界ナインボール選手権』だ。〈T.KOBAYASHI(BD)〉