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第4期女流球聖戦挑戦者決定戦・球聖位決定戦

４月７日〜８日（土・日）、大阪府の『マグ・スミノエ』で、『第4期女流球聖戦挑戦者決定戦』と『第4期女流球聖・球聖位決定戦』が開催された。

挑戦者決定戦

佐原弘子

まず今大会、女王の椅子に座り挑戦者を待つ立場にいるのが第３期女流球聖位の米田理沙。その米田は『全日本アマチュアナインボール選手権（アマナイン）』のタイトルも保持する状況で、いわば現役２冠の状況。この日、その米田への挑戦権を廻って闘うのは東日本代表の佐原弘子（千葉）と西日本から田中夕紀子（富山）。佐原は'07年のアマナイン覇者で、米田がアマナインを獲った時のファイナルの相手でもあり、他の試合でも多数の入賞を重ねる強豪。一方の田中も『全国都道府県選手権大会（国体記念大会）』の現チャンピオン。

田中夕紀子

会場はビリヤード場だが、テーブルを移動して１台に複数のスポットライトを当てる。その側面の壁に両応援団が応援幕を飾って、特設さながらの舞台が整った。挑戦者決定戦のフォーマットは７ラック先取の３セット先取り。第１セットを２連を含む３度のマスワリを決めた佐原が先行すると、続く第２セットは田中が２連をお返しするも、5-5のスコアから抜け出した佐原がセットカウント2-0とアドバンテージを得る。第３セットは田中が２度のマスワリにエースも決めて１セットを返す。だが、互いに疲れが見え始めた次セットの接戦を制したのは佐原で、翌日の決定戦への切符を手中に収めた。

第４期女流球聖位決定戦

第３期女流球聖位・米田理沙

この日、主催のJAPAによって初となる試みが行われた。プロのDJによる実況と、プロプレイヤー（川端聡、大井由希子）を解説に招いて、『USTREAM』配信による音声入りの中継だ。マイクを２本立てた特設の実況席には、途中で応援団からも参加を求めて、ビリヤードの基本解説から選手の素顔にいたるまでを丁寧な言葉で流した。

DJと大井由希子

プレースタイルは異なる米田と佐原だが、セーフティのジャッジの早さや上手さなどは似た域にあると感じる。また無理や無駄のないクレバーな組み立ても絶品で、大会の格にふさわしい２人に注目が集まった。ゲームが動いたのはセットカウント1-1で迎えた第３セットで、ここから佐原が２連取で3-1と王手をかける。後がなくなった米田が超攻撃力を披露して１セット返す。解説の両プロも「本当にレベルの高い２人」とプレー内容に舌を巻く質の高さだったが、第６セットで再び佐原が主導権を握って、念願だった新女流球聖の座に就いた。

笑顔で話す米田理沙と佐原弘子

以前から親交が深く互いの手の内もよく知る両者は、ゲームの合間には笑顔で話す姿も見られた。「ガムシャラにプレーできました」という佐原と「プレーの底上げが必要だと感じた」米田。１日の長く過酷な闘いは、彼女たちの高い経験値をさらに大きく引き上げたことだろう。２人の選手と応援団が爽やかな風を残して会場を後にした。この瞬間から佐原への挑戦権を懸けた全国の女流戦士たちの闘いは始まっている。来春も最高のドラマが桜とともに花を咲かせることだろう。