第10回関西ナインボールレディースオープン(G2)
河原千尋
男子と日程を同じくして開催された『関西ナインボールレディースオープン』。第10回という節目を迎えたことを期に、トーナメントレポートに加えて本大会の歴代優勝者達を掘り起こしつつ、現在の国内女子界の勢力図を検証してみたい。初日にベスト16戦までを終えて迎えた決戦日。会場の『高井田ビリヤード』に颯爽と登場した8名の選手を枠順に紹介してみよう。昨年、一昨年と2年連続で日本ランキング1位の座を射止めた河原千尋と、その相手は産休明け後は順調に復調気配の原口晃央。
準々決勝、原口(右)は河原を相手に自分のプレーを全くさせてもらえなかった
既に今季1勝を挙げている曽根恭子の隣には、4児の母にして第一線をキープする山内公子。女王・梶谷景美の相手は昨年からアベレージを上げている藤井寛美。そして大井由希子と土屋純子の大阪勢対決というカードとなった。この回転で気を吐いたのは河原。スタートからマスワリの量産で、原口にようやく出番が回った時には既に5-0のスコア。結局、屈指のシューターに1球のポケットも許さず、河原が完全試合を決めた。他は曽根、梶谷、大井がそれぞれトップグループらしい安定感を見せて準決勝進出を果たす。
今大会のベスト4。左から梶谷、大井、河原、曽根
ここに残る4人は、曽根が第1回大会を制したのをはじめ、全員が本大会のタイトルを保持している。梶谷にいたっては2度優勝しているので、9大会中5回を4人で獲った計算。残る4回は今回欠場した福家美幸が3度('07~'09年にわたり3連覇)、昨年も準優勝の結果を残す高木真樹子が1度と、国内女子界における上位陣のタイトル占有率を垣間見ることができる。ただし後続の追い上げムードも著しく、今年は勢力図に変化が起こることも予想される。ただし、それを成すための鍵は選手自身が日々をどう過ごすかに尽きる。高い技術に豊富な経験値も備えた層を崩すには、並の努力では不可能だと断言しつつエールを贈りたい。さて、準決勝では再び河原が爆発して曽根を完封。大井は軽快なリズムに乗り、7-2のスコアで梶谷を退けた。決勝戦は大井のマスワリスタートから2-2まで五分の展開に。後半に河原が2度のマスワリを交えてポイントを重ねる中、大井は散発の2点に留まり、河原が堂々の大会2連覇を飾った。達成感にあふれる河原の笑顔がまばゆいばかりに輝く。まだトップグループは団子状態。その数が大きく膨れ上がったならば、日本の女子は必ず世界へ羽ばたける。そんな予感がした。