ワールドプールシーンの2024年は終わらない〜その1〜
WPA/ACBSはカタール、wnt.はアメリカでビッグイベントを開催
『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)の2024年は、最高峰の戦い『寬仁親王牌 第57回全日本選手権国際オープン』でランキング対象公式戦が全て終了し一段落となったが、ワールドプールシーンでは、WPA/ACBS、wntともに、11月末〜12月にかけて、アメリカ、アジアでビッグイベントを開催する。
まず11月30日〜12月3日(土〜火)にアメリカ・フロリダ州で開催される『MOSCONI CUP』。このイベントは30年の歴史を持つヨーロッパvsアメリカのチーム戦で、wnt.の母体である『Matchroom Sport』(マッチルーム)が最も力を入れている看板プールイベント。
ジャパンプールとプレイヤー達にとって直接関係する部分のない招待制のこの大会だが、アメリカとヨーロッパのwnt.トップランカー達にとっては、メンバーに選ばれることが栄誉であり、ギャラも保証されていることあって、欧米のワールドトップスターにとっては、自身がプールプレイヤーとして最高に輝ける舞台の1つとなっている。
しかし、今年はヨーロッパチームの代表であったジョシュア・フィラー(ドイツ/FR:851)が、wnt.メジャーの『HANOI OPEN』(ハノイオープン)をスキップし、WPA公認の『エイトボール世界選手権』に出場したことにより、10月に初開催されたアジアvsヨーロッパのチーム戦である『REYES CUP』に続いてwnt.の判断によって出場取り消しとなっており、WPA/ACBSとwnt.の争いが最高の舞台に影を落とす事態にもなっている。
そして12月4日〜14日(水〜土)の日程でカタール・ドーハで初めて開催されるのが、『QATAR WORLD CUP 10-BALL 2024』(カタールワールドカップ)。この大会はWPA公認で、ACBS傘下の『Qatar Billiard Sports Federation』(QBSF)が主催する賞金総額45万ドル(約6800万円)、優勝賞金10万ドル(約1500万円)のビッグイベント。
フィラーはカタールワールドカップに出場決定
今年6月にサウジアラビア・リヤドで開催されたwnt.ブルーリボン(※最高グレードのランキングイベント)でありWPA公認でもあった『ナインボール世界選手権』は、賞金総額100万ドル(1億5000万円)、優勝賞金25万ドル(約3800万円)でそれには及ばないものの、世界で戦うプールプレイヤーにとってこのイベントは、極めて大きなチャンスとなっている。
さらに、ハノイオープンに出場したプレイヤーは現在、WPA/ACBSによって出場停止、ランキングポイント剥奪のペナルティを受け、wnt.のトップランカーの多くがWPAランキングのトップ戦線から消えたため、WPAランキング28位までがシードされている今大会で恩恵を受けたプレイヤーも多く、JPBAでは大井直幸、土方隼斗がランキングシードとなっている。
このようにWPA/ACBSとwnt.との関係性の悪化から起こった様々な事態によって、結果的にどちらを選んでもプロとして成功できる機会が増えている現状の中、トッププレイヤー達の判断も明確になりつつある(次回に続く)。