ウェブキューズはビリヤードの全てがわかる総合情報サイトです。

World Top Interview〜ルビレン・アミット〜

2024.11.26

女子テンボール世界選手権、対谷みいな戦直後のコメント

ナイン&テン、2つの世界選手権を制しているルビレン・アミット

2度のテンボール世界王者であり、今年はナインボールの世界王者にも輝いたルビレン・アミット。ワールドトップスターの1人である彼女は、11月にプエルトリコで開催された女子テンボール世界選手権で今回の全日本選手権で5位タイと活躍した谷みいなと対戦。ここではその試合終了直後に、現地取材を行った森覺摩氏が話を聞いた。

●谷には大会に出続ければ、必ず優勝できると伝えました

森:今の谷選手との試合はどうでしたか?
ルビレン・アミット(以下、アミット):ミスショットやセーフティ、ポジションのミスもあって、かなり苦しい展開でした。2セット目では谷選手のプレーが安定してきて、彼女が先に3ラック取った一方で、私は1ラックしか取れていませんでした。そのため、リスクのあるショットは避け、谷にチャンスを与えないように心がけました。最後のラックで⑦のバンクショットを狙いたかったのですが、⑧へのポジションが難しくなる可能性があったので、より確実な選択をしました。普段ならバンクで攻めていたと思います。

この試合はセットカウント2-0でアミットの勝利

森:試合直後に谷選手に声をかけていましたが、何を話したんですか?
アミット:彼女のストロークがとても良かったので、それを褒めました。そして、練習を積み重ね、谷には大会に出続ければ、必ず優勝できると伝えました。ストロークだけでなくアドレスもしっかりしていて、第1セットで少しミスがありましたが、あのミスがなければ私が負けていた可能性もありますね。

この遠征で収穫を得た谷は全日本選手権で躍動

森:もしあなたが彼女のコーチだったら、どんなアドバイスをしますか?
アミット:彼女にはもっと経験が必要です。今回の試合ではまだ少し硬さが見られました。彼女がプロの試合にたくさん出場し、慣れてくれば、日本のトッププロの1人になるでしょう。技術面では、今回の試合ではブレイクがあまり良くありませんでした。 テーブル中央からブレイクしていましたが、サイドからの方が良かったかもしれません。彼女のストロークは本当に良いので、ブレイクももっと良くなるはずです。また、キックショットについても、ただ当てるだけではなく、返し方をしっかり考えている点は素晴らしいです。ただし、コンディションの変化で思うようにいかないこともあります。それでも、彼女は1~2年のうちに、誰とでも互角に戦えるプレイヤーになれると思いますよ。

森:あなたは女性プレイヤーの中では体が小柄ですが、ブレイクは力強く、イン率も高いですよね。その秘訣は何ですか?
アミット:テクニックもありますが、タイミングが全てです。私は、手球をラックに向かって全力で押し出すイメージでショットしています。

●テーブルの外での取り組みに力を入れています

森:女子ナインボール世界選手権優勝、おめでとうございます。
アミット:ありがとうございます。本当にラッキーでした(笑)。

森:テンボールの2つのタイトルに加えて、今回のナインボール世界タイトル。過去数年と今年との違いは何かありましたか?
アミット:まず、今年で43歳になり、もう若くないということを受け入れて、今年の初めからジムに通い始めました。水泳やビジョントレーニング、ヨガ、メンタルトレーニングなど、テーブルの外での取り組みに力を入れています。女子ナインボール世界選手権の優勝はは、それらの努力がうまく噛み合った結果だと思います。

森:タイムファウルを取られていましたね。
アミット:アメリカでの大会では時差ボケがありいつも苦労しています。睡眠が4時間くらいしか取れません。今日も調子はあまり良くなく「1ショット1ショットを丁寧に」と心がけてはいたのですが、ファウルを取られて目が覚めました(笑)。 あの時、キュー先でポイントしたら、レフェリが「ナイン」と言ったのは聞こえましたが、それをナインボールをコールしていると勘違いしているのかと思ったのですが、その後にタイムファウルと言われて「?」となりました。レフリーも「次からはっきり言う」と話していましたが(笑)。ただ、それをきっかけに集中し直すことができました。第3セットには持ち込みたくなかったですし、シュートアウトになればチャンスは五分五分だと思っていましたから。

この大会のアミットは9位タイフィニッシュ

森:コンディションの変化にはどう対応していますか?
アミット:このような試合では、ボールにワックスがかかっている影響が大きいですね。また、TVテーブルと外のテーブルでは異なりますし、同じテーブルでも第1セットと第3セットでは状況が変わることがあります。さらに、外で急に雨が降るといった環境の変化も影響します。

森:全ての状況をしっかり把握してプレーするんですね。
アミット:もちろんでうs.そのため、常に手球の動きに注意を払い、コンディションの違いによる変化を理解し「こういう時はこう動く」というパターンを頭の中から探して対応しています。こういった微妙な調整を繰り返すことがビリヤードの面白さでもあると思っています。ただなんとなくショットするのではなく、「今のコンディションではこうする」という明確な意図を持ってショットすることが重要なのではないでしょうか。

森:お疲れのところありがとうございました。この後の試合もがんばってください!

Text & Photo/森覺摩

ページトップへ
×