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大井直幸が遂にwnt.ランキングイベント制覇!

2024.08.05

TAOM MAXRACK NINEBALL HELSINKI OPEN@フィンランド・ヘルシンキ

大井直幸は海外トーナメント6年ぶりの優勝

2019年に世界獲りを目標にして本格的な海外挑戦をスタートさせ、昨年1月には日本人プレイヤーとして初めてwnt.(ワールドナインボールツアー)契約プロとなった『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の大井直幸(FR:818)。

2006年にJPBA入りし、ルーキーとして史上初のMVPを獲得して以降、国内での実績はもちろん、2021年と今年の2度、WPA公認の『テンボール世界選手権』で準優勝を果たすなど日本のエースとしても活躍を続けてきた大井だが、海外トーナメントでは、2018年に中国で開催された『CBSA Miyun 9-Ball International Championship』以来優勝はなかった。

3月のテンボール世界選手権ではフィリピンのカルロ・ビアドに敗れ惜しくも準優勝

そんな大井は、2021年シーズン終了後には自身の立ち位置を世界の「ベスト16」、wnt.が本格的に動き出し、ワールドトップスターとその位置を狙う世界中のプレイヤーが激しく戦うようになった昨シーズン終了後には「ベスト32」と表現していた。

しかしこの時同時に、道具から自身の生活スタイルまでを変化させ、プレーにも手応えを感じていた大井は、「年齢的、技術的に限界を感じることは?」という編集部の問いに「いや、それは全然ないよ。今も上手くなっていくフィーリングは持てているし、今年は1つ、いや2つくらい勝てるんじゃないかな」とも語ってくれていた。

2024年に入り、大井はアメリカ、ヨーロッパ、アジアを転戦するいつも通りのツアー生活をスタートし、その中で2月にアメリカ・ラスベガスで開催されたテンボール世界選手権で2度目の準優勝。しかし、wnt.ではなかなか上位に食い込むことができず、最高位は自身の言葉通りの17位で、ランキングも30位まで落としていた。

優勝賞金25万ドル、6月のナインボール世界選手権では17位タイ

そんな中で迎えた今回のヘルシンキオープンは、大井にとってシーズン後半戦のスタートであり、その後に続くメジャー2戦『ヨーロピアンオープン』『USオープン』に向けての大事な前哨戦でもあった。

もう一人の日本人wnt.プロである吉岡正登とともに戦った今大会は、2024年シーズンにwnt.が戦略的な意味合いも含めて拡大させている、地元プレイヤーが大挙参戦できる世界各国でのローカルトーナメントの一つ。優勝賞金は8000ユーロ(約125万円)だが、もちろんwnt.トップランカーも多数出場するためそのレベルは高い。

108名が出場した厳しいフィールドの中、今回の大井は予選ラウンドで2連勝しシングルイリミネーションとなるベスト32に進み、さらにここでも危なげなく勝利してベスト16へ。同じく3連勝でベスト32に進出した吉岡とは、ともに勝利すれば対決するドローであったが、ここで吉岡が敗退し対戦は実現せず。

大井はこの試合の勝利後、現地でのインタビューに
「とても良いパフォーマンスでした。今日の朝練習して良い変化がありました。この勝利で自信が増したかもしれないですね」
と答え、それに対し試合の解説もしていたマーク・ホワイト氏も、
「とても自信満々に見えました。全ての球をとても強く、ポケットの真ん中に叩き込んでいました。コメンタリーでも言いましたが、あなたのこれまでのベストパフォーマンスの一つだと思います」
と応じている。

さらにインタビューで「ブレイクの調子も良く、チャンピオンになれるかもしれない」と語っていた大井は、以降も素晴らしいパフォーマンスを見せて遂に決勝に到達。その相手は、これまでwnt.で幾度も対戦し、かつては手痛い敗戦によって自信を喪失させられていたこともある難敵、wnt.ランキング2位のフランシスコ・サンチェスルイス(スペイン/FR:841)となった。

YouTubeチャンネル『BilliardTube』より

サンチェスルイスのマスワリでスタートした11ラック先取、交互ブレイクの決勝戦は序盤から中盤にかけて息詰まる競り合いとなり、第14ラックを終えて7-7。第15ラックはサンチェスルイスのブレイクノーインから、②を巡る攻防を制した大井が取り切って8-7として、第16ラック、一度は③-⑨コンビをミスするものの、③で再び巡ってきたチャンスをしっかりと決め切って9-7と、勝利まであと2点に迫る。

粘るサンチェスルイスが、次ラックのマスワリで8-9と再び1点差とするが、大井のゲームに対するフォーカスは崩れることはなかった。プレッシャーも最高潮に達するこの場面で、この試合でも安定していたブレイクからマスワリを返して10-8リーチ。さらに最終となった第19ラックでは、ブレイク1個インからサンチェスルイスが攻めにいった①を外すと、そこからの8球をきっちりと取り切って初のwnt.タイトルを獲得した。

試合後の大井は自身のXで優勝の報告をするとともに、試合後はなかなか眠れないとしながら、編集部に、移動を控えた現地早朝にもかかわらず、以下の優勝コメントを送ってくれた。

「ありがとうございます。ただ1試合1試合に全てをかけただけで優勝出来るとは思っていなかったです。ただ、自分のプレイがまだまだよくなる感覚があったので、気づいたら勝てました(笑)。ツキが味方してくれたので、ツキがまたくる日まで鍛錬に励みます」

ようやくwnt.タイトルホルダーの仲間入りを果たした日本のエースはドイツへ移動。日本時間6日(火)17時から、賞金総額20万ドル、256名枠のメジャーイベント、ヨーロピアンオープン1回戦でカリード・アルオタイビ(サウジアラビア/FR:676)との初戦を迎える。

大会オフィシャルサイト:『Biliardi 247
大会アーカイブ動画:『BilliardTube
大会ライブスコア:『CUE SCORE
写真提供:Matchroom Pool

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