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羅立文が3大会ぶり3度目の関西制覇!

2025.01.28

第36回関西オープン@大阪・マグスミノエ他

幸先の良いスタートを切った羅立文

バブル経済が弾けた直後の1991年に『関西オープン』の前身となる『オール大阪』の第1回大会が開催されました。当時はビリヤード人口は減少に転じておらず、まだまだビリヤード場は賑わっていたと記憶しています。その大会創設の中心人物として奔走され、後に『オール関西』、『関西ナインボールオープン』と名称を変えて、JPBAの公式戦となった2001年以降も、大会運営に尽力されていたのが横田武プロ。横田プロが今月の24日に、かねてから病気療養中のところお亡くなりになられました。生前のご功績に敬意を表しますとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。

横田プロは今回の記事対象試合である『関西オープン』に長年にわたり深く関わられ、今大会でもベスト8の回転を前に会場内全員で黙祷を捧げたので、ここにご報告をさせていただいた次第です。また本誌の取材にもご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

2019年、『第18回JPBAシニアオープン』準優勝時の横田プロ(写真右から2番目)

1月25日〜26日(土・日)の両日、大阪府下の多数の店舗を用いて、JPBAのシーズン開幕戦となる『第36回関西オープン』が開催された。フォーマットはナインボールの交互ブレイク。長かった前日の予選を勝ち切ったメンバーだけに、それぞれの表情に自信が見てとれる。

決勝会場となった『マグスミノエ』

ここで少しデータに触れておくと、JPBAの「グレードG2」として開催された昨年までの22大会において、最多優勝回数を誇るのは土方隼斗の4回で、続いて川端聡の3回、そして栗林達と羅立文の2回と続く。また同期間の表彰台(ベスト4入り)回数では、羅が11回で驚異の入賞率5割を誇る。そして川端の6回、土方の5回、利川章雲、栗林達、大井直幸の4回で、3回は赤狩山幸男と飯間智也、そしてフィリピンのラミル・ガレゴと、やはり錚々たるメンバーの名がズラリと並んでいた。

こうして振り返ると、歴代優勝者や入賞者の名前が大会の格を歴史とともに高めることを実感する。そして今年の決勝日ベスト16に残ったメンバーを見ると、本大会の優勝経験者は川端と羅の2名のみ。更に本大会の表彰台経験者が飯間、鈴木清司、稲川雄一、川上善広、杉山功起の5名にとどまっていた。つまり残る9人(内、アマチュア2名)が本大会の表彰台未経験者で、これはフレッシュなメンバーが揃ったと捉えることも出来る。このようなメンバーが「表彰台まで2勝」、「頂点まで4勝」というノルマを背負ってトーナメントが始まった。

表彰台を懸けて戦うベスト8のカードは枠順に、そろそろ関西も獲りたい北谷好宏と安定感を増してきた稲川、九州の最注目株である木原弘貴と本命格筆頭の羅。本大会で過去2度の準優勝・飯間と6年ぶり本大会出場の辻田佳一。九州は福岡から北谷、木原、辻田の3名がベスト8入りしている点も特筆。そして最後のカードは昨年末の『シニアオープン』覇者である鈴木とプロ2年目の林武志の対戦に。ここで稲川、羅、飯間、林が勝利を収めて、今大会の表彰台を決めた。

3位タイ・飯間智也

3位タイ・稲川雄一

さらに準決勝では追う展開となった羅が後半で「ブレイクの差がじわじわと出てしまった」という稲川をマクり切り、飯間を相手に序盤5連取のダッシュを決めた林はアドバンテージを守り切って決勝戦進出を決めた。

決勝戦を前に会場で『公認ボール調印式』が行われた。これは2025年から3年の間、『ダイナ スフィア』をJPBAの公認球として使用することが決まり、JPBAの齋藤健悟理事長とボールの供給元である株式会社ジャストドゥイットの谷崎文保社長がそれぞれ契約書にサインを行うセレモニー。なお今大会から『ダイナスフィアボール:プラチアムボール』が使用され、5月前後に揃う見込みである『ダイナスフィアボール:パラジウムボール』に切り替えられるとのことだ。パラジウムはプラチナムに比べてやや色が濃くなり、また⑥と⑦の色が大きく異なることから、選手もさることながら観る側にとってどのような変化が生じるかにも要注目。

齋藤健悟理事長(右)と谷崎文保社長(左)

羅のブレイクでスタートしたファイナルは、林が先行し羅が追いつくという流れで始まった。中盤で羅が3連取を決めて逆転を果たすと、今度は林が追いつく展開となり、第14ラックを取った林が7-7に追いつく。次ラックは羅のブレイク番で、このラックを制してリーチをかけると、続く林のブレイクは「不運な」イリーガルに。①を巡って両者が巧みなセーフティ戦を繰り広げ、チャンスを得たのは羅。この日は途中でアンラッキーな展開や「らしくないミス」も散見された羅だったが、やはり最後は「精密機械」に。慎重にランアウトを決めて満面の笑みで拳を握って喜びを爆発させた。

第13ラック、決勝戦で唯一見せた羅のマスワリ

この3度目となる関西制覇により、羅はJPBA公式戦で38度目の優勝を遂げ、113回目の表彰台に立った。惜しくも一歩及ばなかった林は3度目の表彰台に。ただしスピーディーなジャッジとプレー、繰り出すショットの精度と安定感、試合中の表情など、すべてに期待が持てる状況で、本人の談話からも見据える未来像と重ねてきた準備が明確に浮かび上がってきて、今年の再注目選手の1人と目して間違いないと確信させた。

準優勝・林武志

初回のオール大阪から34年。2025シーズンはベテランから若手まで群雄割拠の激しいレースが予想される。

Akira TAKATA
大会アーカイブ動画:JPBA YouTube

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