ワールドクラスの戦いを制したソ・ソアが大会初優勝
第23回関西レディースオープン@大阪・マグスミノエ
ソアは昨年の全日本選手権に続き、年をまたいで国内大会2連勝
JPBA女子の2025年シーズン開幕戦『第23回関西レディースオープン』が1月25日〜26日、大阪の『マグスミノエ』を会場に開催された。今回は68名の定員中、JPBAプロは29名が出場、韓国からも2名が参戦した。その内の一人が昨年ジャパンオープンでベスト4、女子テンボール世界選手権で準優勝、全日本選手権で初優勝したソ・ソアだ。今回はソアの戦いぶりを中心に記事を進めていこうと思う。
会場となった『マグスミノエ』
例年、会場のスペースの関係もあって観戦に足を運ぶギャラリーは少なめなのだが、大々的にギャラリー抽選をやっていた往事を思い起こさせる賑わいはソア効果だったのだろう。フォーマットはナインボール勝者ブレイク、予選ダブルイリミネーションが6ラック先取、ベスト32からのシングルが7先だ。決勝日のベスト8で再抽選となる。
ソアの入った8組のトップシードは丸岡文子。初戦、アマチュアを1点に抑えたソアだったが、決勝シングル入りを賭けた勝者最終では対戦相手の谷みいながスーパープレイを披露。3連を含むマスワリ4発でソアは0点に封じられてしまった。
この両者、昨年の全日本選手権ベスト8で対戦していて、その時はソアが逆に谷を零封していたのだから面白い。早々と土を付けられたソアだったが、続く敗者最終に快勝してベスト32入り。対戦相手は勝者最終で勝った現女流球聖位の増田真紀子だ。試合はソアが先にリーチをかけたものの、増田が粘って遂にヒルヒル。しかし最後は増田のスクラッチからソアが取り切って勝利。増田、惜しくも大金星を掴み損ねてしまった。ソアは初日最終戦のベスト16で、谷との接戦を制した丸岡に勝って決勝日入りを決めた。
ソアは敗者側からベスト32に進出して最終日に進んだ
ベスト8でソアの脇を引いたのは、2年ぶりの優勝を目指したランキング2位の小西さみあをベスト32で倒した髙田奈実。昨年の京都レディースで3位タイまで勝ち上がった高田だが、まだ公式戦ファイナルの経験がない。新年度での飛躍に弾みをつけたい試合で序盤は3-2とリードを奪う。しかし4-2にする⑥ミスから流れが変わり、ソアが5連取を決めて勝利。
3位タイ・浜西由希子
3位タイ・栗林美幸
続くベスト4ではマグスミノエ専属プロの浜西由希子との対戦に。5組に入った浜西は勝者最終で第1シードの久保田知子に敗れるもベスト16のリターンマッチに勝ち、ベスト8では奥田玲生を倒しての勝ち上がり。試合はソアが最初の⑨をミス。そこから中盤まで点差が離れない接戦が繰り広げられたが、4-4からソアが突き放して、全日本選手権に続く決勝進出を決めた。
決勝はワールドクラスの戦いとなった
日本国内大会2連勝がかかった決勝戦、対戦相手は関西レディース過去6勝、現ランキング1位の河原千尋だ。直近の優勝は2020年だから勝てば5年ぶりになる。河原はベスト8で平口結貴、ベスト4で栗林美幸と、まるで公式戦決勝でもおかしくないライバル達との死闘を制しての勝ち上がり。
ソアと河原は昨年の女子テンボール世界選手権ベスト16戦が初対戦で、ソアが勝って決勝まで駒を進めている。事実上の日韓頂上決戦、河原にとっては絶好のリベンジチャンスだ。
準優勝・河原千尋
決勝はソアのマスワリでスタートし、ソアが計3発のマスワリで5-3とリードを奪うも、ソアのセーフティミスから河原が取り切りマスワリでイーブンに戻す。しかし逆転リーチをかける⑦を河原がミスして6-5。第12ラックは取り出しからセーフティ戦になったが、ソアが①をジャンプ、②ロングを華麗に決め、関西レディースオープン初優勝を飾った。
ソアの流れるようなオープニングマスワリ
韓国女子プレイヤーといえば、ナインボール世界チャンピオンになって現在はキャロムで活躍するキム・ガヨン、アイドル級のルックスでファンを魅了したチャ・ユラムが思い出されるが、今のソアは二人に追い付き追い越すような勢いがある。この半年間の結果からは日本勢の完敗なのだが、ソアが黒星を付けられた谷戦、ヒルヒルまで追い詰められた増田戦などを思えば、決して絶望的な差ではないと思う。3月には非公式戦ながら大阪で日韓女子対抗戦が予定されているので、今後の日本女子の巻き返しに期待したい。
大会アーカイブ動画:JPBA YouTube