高品質、高性能で信頼性の高いMade in Japan
世界で戦うジャパンプレイヤーのタップ事情
谷みいな
シャフトの先端に取り付けられた革、あるいは合成樹脂製の小さなパーツであるタップは、プレイヤーの思った通りのショットを実現し、安定したプレーを続けるために欠かせないだけでなく、気持ちよくプレーするためのフィーリングも重要なマストアイテムの1つ。
この分野では、世界初の積層タップである『Moori』の誕生以来現在まで、高い品質と性能を持ち信頼できる『Made in Japan』が、プロ・アマ問わず、世界的な人気を誇っている。
現在日本国内においては、数多くのタップメーカーがそれぞれのコンセプトで、特徴あるタップを製作しているが、ここでは2024年に海外に挑んだプレイヤーの戦いをしっかりとサポートした国内の代表的なタップメーカーとプレイヤーを紹介していく。
フランシスコ・サンチェスルイス(スペイン)、ジェイソン・ショウ(イギリス)などのワールドトップスターも使用する、現在世界で最もよく知られ、使われているジャパンタップである『KAMUI』は、国内でももちろん、2011年のナインボール世界王者・赤狩山幸男を筆頭に数多くのトッププロが信頼を寄せている。
2024年に海外にチャレンジしたプレイヤーには、4試合に参戦した村松さくら、シーズン後半に2試合に出場し、全日本選手権ではルーキーながら、海外の強豪が揃う中でベスト8に入った谷みいなが使用して、着実に経験値を高めてレベルアップを果たしている。
フランシスコ・サンチェスルイス
●ZAN
日本ナンバーワンのキュー切れを持つプロプレイヤーであり、科学的なアプローチの独自メソッドでのインストラクションでも定評のある湯山功が、自身が求める切れと安定性を追求して作り上げた『ZAN』は、発売開始以来、国内で根強い人気を誇っているだけでなく、近年は、アロイシウス・ヤップ(シンガポール)やポーランドのエースであるヴォイチェフ・シェフチェクなど海外トップ勢も使用している。
アロイシウス・ヤップ
2014年はwnt.ランキングイベントで初優勝を果たした海外で戦うトップランナーの大井直幸、ワールドトップスターの一角であり、2024年JPBA女子MVPの河原千尋を筆頭に、竹中寛、小西さみあがZANを武器に世界の強豪達との戦いに臨んでいる。
『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の女子プロとして活躍した井上直美さんが、後に革の専門業者としての知識と経験も武器にしてグリップの革巻き用の革の販売からスタートさせたNaollyは、一昨年に満を持してエキスパートならでは革選びから加工だけでなく、プレイヤーとしてのフィーリングも最大限に活かしたタップの販売を開始。以降、プールだけでなくキャロムも含めて国内のプロ、アマから高い評価を受け、瞬く間に人気の完全日本製タップとなった。
Naollyを使用するプレイヤーは「Naollyライダー」と呼ばれているが、2024年の海外挑戦ライダーには、それぞれ2試合、4試合に参戦した栗林達、栗林美幸の日本最強のプロ夫妻、2試合に出場した北谷好宏、1試合を戦った北谷英貴の兄弟プロがいる。
往年のトッププレイヤー達がこぞって最高の打感と音、そしてパワーを併せ持つタップとして好んで使用してきた分厚い1枚革で製作された牛革単層タップは、豚革積層がメインとなった現在は新作としてほぼ見ることができなくなった。そんな中で牛革を素材とした独自の製法でこのフィーリングを再現し、さらに安定性も高めてこれまでにないタップとして製作されたのが『BIZEN TIP』。現在は国内トッププロだけでなくフィリピントップの一角にして、最近はプールだけでなくヘイボール(チャイニーズエイトボール)でも活躍するデニス・オルコロも使用中だ。
デニス・オルコロ
そんな中でBIZENアスリートとして2024年に海外で戦ったのは、土方隼斗と平口結貴の2人。土方は10試合を戦って『PUDONG TANGCHENG 2024 WPA 9-Ball China Open Men』で準優勝、平口は『2024 ACBS Asian 9-Ball Ladies Championship』でベスト8と、しっかりとハイレベルなトーナメントで戦績を残している。