A級・松本真明、女子級・米田理沙、B級・吉原直孝が戴冠
文部科学大臣賞 第71回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会@名古屋・稲永スポーツセンター
各級優勝者。左からA級・松本、女子級・米田、B級・吉原
紅葉の季節を迎え、この3連休はルヴァンカップ、日本シリーズ、駅伝等、スポーツイベントが目白押し。そんな中、11月2日~3日(土・日)、愛知県名古屋市港区の『稲永スポーツセンター』で、秋のローテーション頂上決戦、『第71回 全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会』(以下、アマローテ)が開催された。毎回の光景ではあるが、A級(180点 / 192名)、B級(120点 / 128名)、女子級(120点 / 64名)が一堂に会し、テーブル30台が並べられた特設会場で凌ぎを削る様は壮観の一言だ。
会場となった『稲永スポーツセンター』
これも毎回書いていることだが、今大会は完全ダブルイリミという特殊なフォーマットを採用しているため、敗者に回ってしまうとひたすら試合が続くことになる。A級の場合だと、なんと初戦に敗れたら優勝まで15連勝が必要な計算に。ちなみに、決勝(無敗の勝者側勝ち上がりvs 1敗の敗者側勝ち上がり)も一発勝負ではなく、敗者側が勝った場合には1敗同士のプレーオフで雌雄を決することになる。
B級3位・藤木隆彰(愛知)
B級準優勝・吉田茂伸(愛知)
まずはB級から。勝者ファイナルを勝ち上がったのは東京の吉原直孝。敗者最終は地元愛知同士の戦いになったが、吉田茂伸が3連勝で勝ち上がり、決勝も吉原を16点に抑え込んでプレーオフに突入する。しかしそのプレーオフでは吉原が巻き返して112-8で第2ラックに。ブレイクがあまり割れず、ごちゃついた配置の⑨がフロックイン。B級はコールショットではないため、劇的な結末で吉原の優勝となった。
吉原はこの優勝でA級に昇格
「来年A級に上がるかどうか悩んでいた中で、問答無用の優勝を勝ち取ったのはそれだけのスキルを持ち合わせていたという事ですね。優勝おめでとう。A級としての更なる成長を楽しみにしています」とはA級に出場していた今年の球聖位挑戦者、増渕享士からのコメント。増渕のお店「Mag」は吉原のホーム。来年は是非A級で共に頂点を目指して欲しい。
第68回から優勝、優勝、準優勝と女子級の主役を担っているのが神奈川の坂田夕紀。大会3勝目を目指した今回は勝者4回戦で東京の諏訪由紀とのYUKI対決に惜敗したものの、敗者側を4連勝して敗者最終へ進む。しかしそこで井上直美との元JPBAプロ対決に敗れてしまい、4年連続での決勝進出はならなかった。
女子級3位・坂田夕紀(神奈川)
女子準優勝・井上直美(東京)
勝者決勝のリベンジを果たすべく決勝に進んだ井上を待っていたのは東京の米田理沙。13年ぶりに決勝の舞台に立った米田 vs 初優勝を目指す井上。勝者最終同様に主導権を握ったのは米田だったが、101-34から井上が意地の反撃を開始して⑧から取り切り体制に。しかし、ポジションを気にした⑪が穴前残り。米田、なんとこれがアマローテ初制覇。
女子級優勝の米田はこれで女子アマタイトルの全てを制覇
そしてアマタイトル優勝は2015年の岩手国体記念以来9年ぶりで、女流球聖&アマナインを含めた女子アマタイトルを遂にコンプリート! これは現プロの佐原弘子に続いて2人目の大記録。復活した米田、来年の女流球聖復位を目指して更に輝きを増すことだろう。
昨年のA級でアマタイトル初制覇を成し遂げた石川の杉本優太だったが、第1シードで臨んだ今回は勝ち負け勝ち負けで早々と大会終了となってしまう。杉本に限らず、今回はいわゆる優勝候補と目されていた面々が大苦戦。
A級3位・高橋政章(愛知)
勝者ベスト4に勝ち上がった4名全てがアマタイトル戦決勝未経験という珍しい状況になり、勝者決勝には愛知の松本真明と広島の佐藤定成が勝ち上がる。松本は第37期東海名人位だったが、今年8月に田尻大悟に敗れて失冠。佐藤は2019年の都道府県対抗で準優勝した広島チームのメンバーだった。あと一つでタイトルに片手がかかるここは松本が佐藤を84点に抑えて決勝進出だ。
A級準優勝・佐藤定成(広島)
敗者12回戦は愛知の高橋政章と大阪の吉岡保俊の一戦になり、高橋が2023年マスターズ覇者の連勝を7で止めて敗者決勝へ。愛知ファイナルに持って行きたかった高橋だが佐藤に45点に抑えこまれてしまい、佐藤がリベンジの舞台に立つ。
決勝は第1ラックで佐藤が112-8の好スタートを切るも、第2ラックは松本が巻き返して128-112と僅差に詰め寄る。運命の第3ラック、135-115から⑤セーフティ戦になったが佐藤のジャンプがオープンで残ってしまい、松本が⑫まで一気に取り切って決着!
A級優勝の松本は初の全国タイトル獲得
地元ARCメンバー達の大歓声に迎えられて満面の笑みを浮かべる松本、50歳にして遂にアマタイトルホルダーの仲間入りだ。「普段から攻撃的な球撞きを好む松本さんは周囲からの人望も厚く、頼りにされる存在です」とは、愛知ARC理事長の島田隆嗣からのコメントだ。これでARCは松本、島田(国体記念、アマローテ)、田尻大悟(マスターズ)と、3名のアマチャンピオンを擁することになるわけだ。来年の都道府県対抗では2000年以来の優勝を目指す愛知がどんな戦いぶりをみせてくれるのかを楽しみにしたい。
来年のアマローテの会場は改修工事を終えた名東スポーツセンターに戻る予定になっている。今大会でJAPA全国大会は2024年の日程を終了。2025年、新しいシーズンは年明けの球聖&女流球聖戦からスタートする。
On the hill!
大会アーカイブ動画:japa _Billiards