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土方隼斗インタビュー〜2024年の戦いで見つけたもの〜

2024.12.29

vol.2_ジャパンオープンの反省と全日本選手権

——シーズン後半に入り、今年のジャパンオープンは3回目の優勝がかなり近づいていた感じでしたが、準決勝のヒルヒル戦でまさかのスクラッチがありました。
土方:はい(笑)。ただ、確かにあの試合だけで言えば悔しい負け方をしてしまったんですが、ジャパンオープンを通して内容が悪かったかと言われたら全然そんなことはなかったです。特に2日目のベスト64で宮城(龍馬)アマにめちゃくちゃ入れられて、もう絶対負けそうだなってところから捲れた自分もいました。

——確か6-8とリーチをかけられてからの逆転でしたね。
土方:そこは、今までなら負けていた展開でしたが、少し嫌なイメージが出てミスしそうな球も決め切れていたので良かった部分は多かったと思います。ただ、この試合もそうですし、2日目の最終戦は台湾の選手、3日目は吉岡(正登)プロ、(アントニオ・)リニング選手で、神経を使う試合が多くかなり体力を削られました。

——その蓄積疲労が準決勝に影響した感じですか。
土方:準決勝では最初は集中力を保って、気持ちを切らさないようにプレーできていたんですが、途中から頭の回り方が遅くなってきたことを感じていました。

——その中で回ってきたのがあの球だった。
土方:そうなんですが、ここはもう正直自分の力不足、経験不足です。体力と神経を使い過ぎた自分の弱さですから、あのヒルヒルの負けはかなり反省しました。

——あの試合では、追いついた後のヒルヒルで、マスワリの⑦を一度ミスしてますよね。
土方:そうです。その後にもう一度回ってきて⑧でスクラッチしたんですが、そこマスワリしなきゃいけなかった気もするし、そもそも、この試合はジャパンオープンの中でも自分のミスが多い試合でしたね。

——悔しい思いもしながらランキング1位をキープした状態で最大の目標であった全日本選手権がやってきました。今回も順調に勝ち上がっていきましたが、良い状態でしたか?
土方:最近は自分の中で「調子の良い、悪い」を感じないようにしています。波も少ないと思っていますし、体力に余裕があって疲れがなければ力を出せる状態には持って行けているので、全日本も自分の中で納得のいく、変わらず自分の力を出せる状態だったと思います。

——そこで呂輝展との激戦がありました。この試合についてはフル動画がありますので、後に解説していただくんですが、まず、あの試合について簡単に振り返ってみましょう。
土方:去年決勝で負けた最高の相手と、全日本選手権という同じ舞台で、今までにやったことがないような勝ち方がでできた一戦ではありました。

——試合の展開はどうだったんでしょうか?
土方:呂選手のプレーもめちゃめちゃ良くて、僕の方に前半少しミスがあって致命傷ではなかったんですが3-7までいかれてしまって、そのまま3-10になりました。でもこの試合は「まだ負けてない、捲れる、まだ全然わからない」という気持ちで戦えていましたね。過去にこんなシチュエーションで、そう思って戦っても結果が伴うことはなかったので、この試合で進化というか成長できたと思います。

——貴重な成功体験でしたね。
土方:これまでこういう勝ち方をする選手を国内の試合では見ていなくて、日本の選手も海外選手相手にできるんだというところを見せたいなという気持ちもありました。決勝の呉坤霖もものすごかったし、海外のトップ選手は技術に対する自信に裏打ちされた動じないメンタルが強いと思うので、自分もそういう気持ちで戦えるようにしないとと改めて思います。

——この試合に勝って最終日に勝ち残り、準々決勝は韓国のコ・テヨンに勝ちましたが、準決勝のメゾン戦が、呂戦と逆のパターンになってしまいました。
土方:呂選手の試合が8連取、その後の準々決勝も3-6から8連取して、「2連続で8連取なんてある!?」と思っていたら、準決勝は11連取されてしまいました。この試合はテーブルコンディションの大きな変化に対応しきれなかった部分があって、それによるミスや迷いなどが出てしまって、決して諦めてはいなかったんですけど、メゾン選手の後半のプレーも良くて、力を出すことなく終わってしまったなという感じでした。

——テーブルが難しかったんでしょうか?
土方:去年初めてミンテーブルさんでプレーした時は、ラシャの転がり方も含めて、他の海外戦ではないような、国内戦でもないような滑り方をしていたという印象があったんですが、逆に今年はすごく落ち着いてたんですよ。これならイメージ良くいけるなと思っていて、実際準々決勝まではコンディションを気にすることなくプレーしていたんですが、準決勝のテーブルだけがかなり違ってました。これはもう仕方のないことで、切り替えるしかないですね。

——3位という結果についてはどのように感じていますか?
土方:連続で表彰台に上がれたので、成長できているかなとは思っています。去年よりも今年の方が絶対に優勝したいという気持ちが強かったので、これ以上モチベーション高く臨めるかと言われたら今の時点ではわかりませんが、ただ勝ちたい気持ちは変わらないと思います。

——この1年の国内の戦いは満足いくものでしたか?
土方:グランプリについては1回は勝ちたかったし、オープン戦に関しては、東海グランプリや北陸オープンでは、相手が良いプレーをして決勝に進めなかったですが、全体的には良い1年だったと思います(vol.3に続く)。

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