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土方隼斗インタビュー〜2024年の戦いで見つけたもの〜

2024.12.28

vol.1_引かない、気負わないメンタル

2006年に華の40期生として大井直幸らとともにプロ入りし、現在まで『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)のトップランカーとして戦い続けている土方隼斗。2023年からは国内で公式戦に出場しながら海外遠征を徐々に増やし、エイトボール世界選手権では自身初の5位タイに入るなど活躍。そして今シーズンは、国内で2勝を挙げランキング1位をキープしながら海外戦にも数多く挑戦し、WPAのランキングイベントであるチャイナオープンで準優勝を果たした。

今回は、そんな土方が、昨年から今年にかけて国内と海外の戦いで感じたこと、そして自身の糧となった経験などについて、2024年戦いを振り返りながら話を伺った。

——今回は2024年の国内戦と海外戦、さらに今話題になってるWPAとwnt.に関するお話なども伺っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
土方:よろしくお願いします。

——それではまず、今年の国内の戦いについて振り返っていきたいと思います。まず2024年シーズンを迎えるにあたって、何か目標は立てていましたか?
土方:国内に関しては、2023年が準優勝で結構悔しくて、国内で取れていないタイトルも全日本選手権だけだったので、久しぶりにランキング1位にもなって、もちろんこれを下げないように意識はしていましたが、全日本選手権優勝一本に絞ってという感じではありました。

——迎えた開幕戦、関西オープンは優勝スタートでしたが、ご自身の調子はいかがでしたか?
土方:2023年の10月後半からは海外の試合でもベスト16、ベスト8あたりに入れたりしていたので、少しイメージが良くなっていて、全日本選手権も準優勝でしたが戦えたので、関西オープンには状態も良く臨めました。

2024年は開幕戦優勝と好スタートを切った

——去年の後半から具体的にこれまでと何か変わったことはありましたか?
土方:具体的にあるかと言われたら正直大きくはないんですけど、自分の中では海外戦に対するメンタルの持ち方は試合中も含めて「これでいいのかな」というものが見付かった感じです。

——実際に経験を重ねることで、技術的というよりも試合への向かい方や戦い方のイメージを作ることができたということでしょうか?
土方:そうですね。メンタルが大きかったかなという気はします。たくさん試合をする中でいろいろと変わってはいたんですけど、去年から今年前半にかけてはかなり安定しました。

——試合に向かうメンタルには例えば強い気持ちを持ち続けるとか、リラックスする時はリラックスするなど色々ありますが、土方プロの場合は?
土方:簡単に言うと、主に海外戦なんですが、誰が相手でもどんな場面でも、基本的に何も考えることなくプレーできるようになった感じです。元々は世界戦だから頑張ろうという心構えでやったりもしていたんですけど、内容が悪くなくても結果が出ないことが続いていてずっと試行錯誤していました。それがエイトボール世界選手権で5位になった頃から、余計なことを考えずに試合に臨めるようになりましたね。試合前には考えていても、試合中は一切、相手が自分より格上だと思っている選手でも、それに引くこともない、気負うこともないメンタルで戦えるようになりました。

2023年10月のエイトボール世界選手権でキャリアハイの5位タイに入賞

——難しいことだと思いますが、自分なりの良い戦い方を見つけた感じですね。
土方:はい、これで普通に戦えるようになって、普段の力を出した時に上位に行けたことも自信に繋がって、落ち着いたというところもあるかもしれないですね。

——国内の話に戻りますが、今年は関西で勝ってその後は14-1にも勝ちました。
土方:ただグランプリイーストは勝てなかったので、今年はこの2勝です。
——グランプリは羅立文プロとMVPを争うことが多かったですが、今年はどうだったのでしょう?
土方:今年は正直なところ、勝ち切る気持ちが少し弱かった試合があったかなと思います。第1戦と第2戦が海外戦の直前で、そこは自分の甘えにはなってしまうんですが、海外戦に気持ちが行ってしまっていた部分がありました。もちろん日本の試合を休みたいとは思っていませんし、できる限り出場しながら海外でも戦うという気持ちでやってきたので、結果としてグランプリでは勝てませんでしたが、ランキングを落とすことなくシーズンを終えられたことは良かったと思っています(以下、Vol.2に続く)

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