PGT第2戦は吉岡正登が優勝!
プライベート“ガチ”トーナメント@ダマデノッチェ(愛知県東海市)
吉岡正登が決勝で川端聡を下して優勝
「エントリーフィーを安く、賞金は高い試合を開催したい。プロが稼げる場を作りたいから」
これは、このイベントを企画し準備に奔走したJPBA東海支部所属の森村雅一プロの言葉。自身が25年を超えるプロ活動の中で得た経験と人脈を生かして、「賞金を稼げる」場を提供しようというものだ。しかも本人は出場せずに、無報酬で裏方に徹したのだから、その意気込みたるや言わずもがな、である。
会場となった『ダマデノッチェ』。手前は試合を見守る森村雅一プロ
また事前にJPBAにも本イベント開催の承諾を取っており、これは「トーナメントにおける可能性の模索と実験」であることが示された。さらにはエントリーフィーを賞金に充てないことも実現させた。無論、年間の過密なスケジュールが組まれている公式戦で同様の試みを行うのは容易ではない。
このような主旨の基、プロ16名による賞金マッチ(シングルトーナメント)が開催された。時は12月8日(日)。試合開始を正午にすることで、関西圏からは当日移動でも間に合う設定にした。
しかし前日から訪れたプロも多く、プロ同士でスパーリングをしたり、お客さんとビリヤードを楽しんだりと、様々な形のコミュニケーションが取られていた。さらに「前夜祭トークライブ」と銘打った対談のライブ配信も試みた。プロの公式イベントであれば、品位・品格の部分で制約が設けられて然るべきだろうが、プライベートイベントならではの爆裂トークは、参加者や一部のコアなファンにとって抱腹絶倒の爆笑劇場に。特に九州から参戦した北谷英貴プロの視野の広い軽妙な語りは、多くの人を楽しませるエンタメコンテンツとしても確立された域にあることを示していた。
このような「試み」は、日曜日の大会終了後にも「座談会」という名でライブ配信が行われた。この日に決勝戦を戦った吉岡正登プロ、川端聡プロという、海外でも活躍してきたトッププロも交え8名のプロが参加し、森村プロは自らマイクを握って進行を務める。さらに地元・東海のアマチュア(女子高生)が「プロに質問をしたい」と、飛び入りで参加すると、プロたちは自身のキャリアで蓄積してきたノウハウを惜しみなく披露して、各自の強いビリヤード愛と次世代への期待を強く感じさせる会となった。
試合終了後にはイベントの一環としてプロによる座談会も行われた
と、前置きが長くなったが、16名のプロが参加する安いエントリーフィー(2,500円)で高い賞金(優勝160,000円)のプライベートトーナメントが開催された。フォーマットはテンボールの7ラック先取で、「およそ6時間で試合を終えたい」という意向によりシングル・イリミネーションを採用。参加者の内訳は地元・東海から4名、関西勢が9名、さらに中国から1人(有田秀彰・島根)、九州から1人(北谷・福岡)、そして地元のJPBF(元・JPBA)の神箸久貴。もちろん真剣勝負だが、和やかな感想戦や試合中のコミュニケーションなどは、どことなくフランクな雰囲気に。
実況解説を行う田代亮太(左)、齋藤功博の両プロ
そんなムードの中で、賞金圏のベスト4まで進んだのは、枠順に吉岡、北谷、山川英樹、川端という面々。ここで吉岡が7-1で北谷を退け、川端も7-4で山川を振り切って、それぞれ決勝戦に駒を進めた。
3位タイ・山川英樹
3位タイ・北谷英貴
ファイナルはブレイクノーインや配置の難などもあり、小技の競り合いも多く見受けられる中で両者一進一退の並走で終盤に突入。5-5に並んだ吉岡がセーフティからフリーボールを得て①-⑩コンビを決めてリーチをかけると、最終ラックは技アリのマスワリを決めて優勝を飾った。
「今年は国内の試合にあまり出ていなかったこともあるんですけど、日本で勝てていなかったので、やっぱりこのメンバーで優勝出来たことは嬉しいですね」と爽やかな笑顔でコメントを残した吉岡。終了後は川端と和やかなムードで試合を振り返り、最後は「今年の最後は来週の台湾で頑張ってきます」と、海外を主戦場とした一年を象徴する言葉で締め括った。
準優勝・川端聡
白熱した勝負やトークで存分に盛り上がった今回のイベント。参加者も観戦者も協賛をした人も運営に携わった人も結局、みんな「ビリヤードが大好き」。すべてのビリヤード愛好家の方がよき新年を迎えられますよう!(少し早いですが)
大会アーカイブ動画(前夜祭、プロ座談会もアリ):Billiard Walker
Akira TAKATA