照屋勝司が悲願のプロ初勝利、小西さみあは今シーズン3勝目
第35回北陸オープン@富山・石川
照屋勝司と小西さみあは、ともにヒルヒルとなった激戦を制して優勝
10月20〜21日(土・日)、富山県での開催は昨年に引き続き2年連続となる、『第35回北陸オープン』が開催された。決勝会場は富山駅の特設イベントスペース。緑の窓口がすぐ目の前という公共スペースにはテーブル4台が設置され、改札を出入りする北陸新幹線の乗降客は誰もが一度は足を止め、選手達のプレーに驚きと好奇の目を向けていた。
決勝会場となった『JR富山駅新幹線改札前イベントスペース』
会場の特性を活かしたサブイベント『親子でキッズビリヤード』も1日を通して大盛況だった
昨今のエントリー数の増加傾向は今大会でも変わらず、男子216名、女子64名のエントリー上限はあっという間に埋まってしまい、多数のキャンセル待ちが出る結果となった。エントリー人数を増やしたくても予選会場として使用出来る北陸3県の店舗には限りがあるから、主催者側としては痛し痒しと言ったところ。
今年決勝会場に進出したのは全てJPBAプロとなった
予選フォーマットは男子が7ボール7ラック先取、交互ブレイク、女子が6先、勝者ブレイク、それぞれ決勝シングルから8先と7先に上がり、男子ベスト16、女子ベストからが決勝特設会場へ駒を進めることが出来る。今年は24名全員がJPBAプロという結果になった。
3位タイ・久保田知子
3位タイ・谷みいな
昨年の女子は曽根恭子が久々の優勝を飾り、公式戦初優勝を目前にした村松さくらが惜しくも頂点を逃す結果に。そして今年、曽根はベスト32で谷みいなに敗れてしまったが、村松はその谷をベスト4で競り落としてファイナルの舞台に帰って来た。村松は今年2月に初優勝を飾り、今期2勝目を狙う。
反対の山からは現ランキング2位の小西が勝ち上がって来た。対戦成績を調べて驚いたのだが、村松のプロ入り後、なんと小西には6戦全敗なのだ。直近では小西が優勝した5月の大阪クイーンズ準決勝で小西が勝っている。決勝は小西が3-2とリードしたところから、村松が3連取で逆転。
準優勝・村松さくら
しかしそこから小西が3つ取り返してリーチ。①、②のセーフティ戦を小西が制したが、④を穴カタしてしまい、村松が取り切ってヒルヒル。最終ラック、村松のブレイクは取り出しが見えずプッシュアウト。小西パス。ここで村松が痛恨のセーフティミス。小西、残り球を取り切って今期3勝目をゲットだ。
充実のシーズンを過ごす小西、最終戦での活躍も期待される
年間3勝はもちろん今年が初めて。小西、年間ランキングでは河原千尋を逆転することは難しい状況だが、全日本選手権で4勝目を目指す。
男子決勝、片方の山からは昨年覇者の羅立文が先週のグランプリイーストで初優勝を飾ったばかりの神箸渓心を抑えて勝ち上がって来た。もう一人は今年の関西オープンファイナリストの川上善広を倒した照屋勝司。面白いことにこの両者の対戦成績も14勝2敗と羅立文が圧倒している。
3位タイ・川上善広
3位タイ・神箸渓心
直近では昨年12月のグランプリイースト最終戦決勝で羅が勝利。ビリヤードファンならご存じかと思うが、これが照屋にとっては7度目の公式戦準優勝だった。照屋が「8度目の正直」を目指した決勝は進むにつれて胃が痛くなる展開に。
6-4とリードした照屋は 1点差に迫られたがマスワリで7-5リーチ。続く第13ラック、何でもなさそうに見えた①を羅立文がミス。取り切りに掛かった照屋だが③から④ヘの出しでスクラッチ、7-6。第14ラックは取り出しロングの嫌らしい②を照屋が決めるも、イージーに見えた③をミス。羅が厳しいセーフティから取り切ってヒルヒル。
準優勝・羅立文
最終ラックのブレイク3個インを見て、ギャラリーから歓声とも悲鳴とも聞こえる声が。取り出しの①は真っ直ぐで出しも問題なさそうに見えたのだが、羅が引き加減をミスって隠してしまう。ジャンプで行ってオープン。照屋、この残り球を必死に入れ繋ぎ、遂に遂に、悲願の公式戦初優勝達成だ。
残り2戦、呪縛から解き放たれた照屋はどのような戦いを見せるのか
照屋のプロ入りは2009年だから、実に初優勝まで15年かかったことになる。今ある手元の資料では確実とは言えないが、これはJPBA新記録なのではないだろうか。これをきっかけにシーサーパワーが国内ビリヤード界に旋風を巻き起こすことに期待したい。
JPBAの2024年シーズンもいよいよ最終盤。来月11月は第2週のグランプリイースト最終戦を経て、いよいよ最終決戦、全日本選手権でクライマックスを迎えることになる。