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杉山功起がプロ初優勝、河原千尋は早くも今季2勝目

2025.04.14

第41回関東オープン&第33回関東レディースオープン@東京・ビリヤード・ロサ

杉山は羅立文、河原は奥田玲生を降して優勝

4月12日~13日(土・日)の週末、桜が散り始めた首都圏で『第41回 関東オープン』と『第33回 関東レディースオープン』が開催された。日曜日の決勝会場となったのは今年も池袋ロサ。

決勝会場となった『ビリヤード・ロサ』

バブル明けの首都圏は相変わらず大会熱が続いていて、今回も男子205名、女子86名のエントリー定員が埋まるのはあっという間だった。フォーマットは男子がテンボール勝者ブレイクのシングルイリミネーション、1回戦&2回戦が10ラック先取、3回戦とベスト32が9先、決勝日のベスト16からが8先。ナインボール勝者ブレイクの女子は予選ダブルイリミが6ラック先取、ベスト32からが7先で、決勝日はベスト8から。

今年の決勝戦は男女共奇しくも「絶対王者 vs チャレンジャー」という構図になったのだが、それが見事に好対照な幕切れとなったことで、例年以上にギャラリーの記憶に残る大会になったのではないだろうか。

まずは男子から。注目を集めたのは昨年の覇者であり、ジャパンオープン以来の国内戦参戦となった大井直幸だったが、その姿を決勝日に見ることは出来なかった。予選最終ベスト32で大井との接戦を制して決勝日に勝ち上がったのが稲川雄一だ。稲川は勢いに乗って塙圭介と神箸渓心を倒してベスト4まで進んだが、そこで杉山功起に4点に抑えこまれてしまう。

3位タイ・稲川雄一

3位タイ・P・J・オルテガ

反対の山には現ランキング1位と2位の土方隼斗と羅立文が入ったが、土方はベスト8でフィリピンのオルテガにヒルヒル惜敗を喫してしまう。ベスト4の羅立文 vs オルテガは再びヒルヒルとなり、羅が4-7からの捲り勝ちに成功して決勝は杉山 vs 羅となった。

準優勝・羅立文

両者のこれまでの対戦成績は何と羅の6戦全勝。その中には昨年のGP第2戦決勝も含まれる。21年のプロ入り後、堅実に決勝日に残って結果を出して来た杉山だが、頂点にはあと一歩届かない。昨年のGP第5戦決勝では神箸にGP初優勝を先んじられ、年末のSAPPOROオープン決勝ではアマチュアの織田賢人に屈してしまった。そして再び訪れたチャンス。しかし相手は最強にして対戦相性も悪い羅だ。

初優勝を狙う立場としては最悪の相手と言って良い。だが杉山は悪いイメージを振り払うように決勝で2-0の好スタートを切り、2-1から5連取でリーチをかけ、1点返されただけで羅を押し切ってしまった。1-7となって、さすがの羅でも粘りきれなかったか。この勝利を見て筆者が思い出したのは昨年の東海GP。

杉山は羅を相手に一気に走って嬉しいプロ初勝利を挙げた

あの時も羅は準決勝で竹中寛との死闘を演じて勝利した後、決勝ではリニングの前に座っているだけになってしまった。その時、ベスト8で竹中にヒルヒル惜敗したのが杉山だ。羅を倒すには一気に仕留めるしかない……。杉山がそう思って今回の決勝に臨んだのかどうか、次回会った時に聞いてみようと思う。男子の次戦は5月の全日本14-1になる。

女子は前回覇者にして不動のランキング1位、河原千尋が順当に勝ち上がっていく。予選1組を無敗で勝ち上がると、ベスト8では谷みいな、ベスト4では村松さくらと、新興勢力の台頭を阻んで決勝へ。反対の山からは、現ランキング3位の奥田玲生が公式戦優勝歴のある久保田知子と丸岡文子を倒して勝ち上がってきた。

3位タイ・村松さくら

3位タイ・丸岡文子

昨年の全日本選手権で3位タイと結果を出した奥田はこれが3度目の公式戦初優勝チャレンジ。これまでの2度は栗林美幸と小西さみあに阻まれていて、河原との対戦成績は2勝5敗だ。決勝は奥田が先制したものの、そこから5連取されて6-2で河原がリーチ。

準優勝・奥田玲生

しかし奥田の心は折れず、1点ずつ返して6-5まで押し戻す。そして両者による素晴らしいセーフティ合戦となった第12ラックを奥田が制して遂にヒルヒル。最終ラック、持ち時間のなくなった河原の①セーフティが甘くなってしまい、奥田が取り切り体制に。しかし、しかし……。④から⑤への出しで手球が⑨の裏に隠れてしまう。残りは3球だ。奥田、空クッションから当てに行くがファウル。

河原はここまでの3戦で全て決勝に進出し2勝と圧倒的な強さを見せている

フリーボールからとはいえ、河原は25秒のショットクロックだからドラマがあっても全く不思議ではない。だが、こういう究極の場面を乗り切ってきたからこそ今の河原があるのだ。河原、しっかり取り切って大会連覇達成、優勝回数はこれで5回となった。初優勝という甘美な果実は確実に奥田の目の前にあったのだが、今回それを手にすることは叶わなかった。

今シーズンの河原は2月の女子ツアーから2連勝で、年明けの関西レディースでもソ・ソアに敗れて準優勝。つまり今年はまだ公式戦で日本人に負けていないのだ。果たして今年最初に河原に土を付ける日本人は誰なのか。女子の次戦は5月末に神奈川で行われる全日本女子プロツアー第2戦だ。

On the hill!
大会ライブスコア:Kanto Open and Kanto Ladies Open 2025
大会アーカイブ動画:JPBA YouTube

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