増田真紀子が坂田夕紀のリベンジを許さず初防衛に成功
第16期 女流球聖位決定戦@大阪・マグスミノエ

増田真紀子は1日を通して安定したプレーを見せ4-0で勝利
4月6日(日)、「第16期 女流球聖位決定戦」は、第15期女流球聖位の増田真紀子と、前日の挑戦者決定戦を勝ち上がった東日本代表の坂田夕紀との対戦となった。両者は前期の挑戦者決定戦で顔を合わせ、勝った増田が第14期女流球聖位の梶原愛をフルセットで倒して新女王の座に就いている。
その約三ヶ月後、増田と坂田は全日本アマナイン決勝の舞台で再び激突して、ヒルヒルの死闘を増田が制している。更に言えば、2021年の全日本アマローテでも両者は顔を合わせ、勝者最終こそ増田が勝ったものの、決勝、プレーオフと坂田が連勝して初アマローテタイトルを手にしている。今回の対戦はお互いにとって負けられない、いや負けたくない女子アマ界の真の頂上決戦なのだ。

頂上決戦は10時にスタート
女流球聖位決定戦では、前日に試合をしている分、挑戦者の方がコンディションを掴んでいて有利という見方もあるが、挑戦者決定戦を戦ったことによる体力的、そして精神的な疲労はかなりのものがある。ましてや増田はホームこそ違え地元関西なのだからマグスミノエのコンディションは熟知している。今日のフォーマットは前日より1セット増えて9ボール交互ブレイク4セット先取。1セットは7ラック先取だ。
10時から始まった第1セット、増田が僅差のリードを保ったまま試合が進むが、坂田に若干の疲れが見える。逆に増田からは余計な気負いは感じられず、5-4から縦バンク、サイドバンクを決めて先制に成功。第2セットは坂田2-0スタートになったが、増田が4連取で逆転。ここから坂田が巻き返し、5-5のタイに戻すも連続⑨ミスで増田が2セット連取して防衛にまた一歩前進だ。

増田が勝負どころを捉えてリードを広げる
第3セット序盤は増田にスクラッチが続くも、坂田3-1リードから今度は坂田にファウルが続いて増田が4-3と逆転。しかし5-3にする何でもない⑨を増田がとばして4-4に。ここまで両者のミスの数はそう変わらないのだが、要所要所を増田がキッチリ締めていることがセット数の差に表れてしまっている。このセットも坂田が5-4とリードを奪ったところから増田が坂田のミスを突いて加点を続け、結局上がり3連取でセットカウント3-0と一方的な展開となってしまった。

坂田も随所で好プレーを見せるが得点には繋がらず
増田リーチとはいえ、ここまで4、5、5点と坂田も点数を稼いでいるのだが、あと一歩ゴールに届いていない。坂田にとって後がなくなった第4セット、増田がこの試合初めてのマスワリで2-0リード。しかし坂田も土俵際の意地を見せて連マスで5-4と逆転。だが増田もお返しのマスワリで5-5に。坂田が反撃の狼煙を上げるのか、増田が一気に決めるのか。
注目の第11ラック、⑥で縦バンクを決めて先にリーチをかけたのはやはり増田だった。しかし増田のイリーガルから坂田が⑤-⑨コンビを決めてヒルヒルに。最後のブレイクは坂田。取り出しの①でセーフティに行った坂田だったがこれが無念にも見えてしまう。増田①インも次の③が隠れた。果たしてもう一度坂田に回るのか? ここがこの試合のクライマックス、増田が迷いのない空コで3番をコーナーにポケット! 残り玉を綺麗に取り切り、女流球聖位初防衛に成功だ(結果はこちら)。

応援を背に懸命に戦ったが初挑戦での女流球聖位奪取はならず
とにかくこの日一日を通して、増田の高いレベルでの安定したプレーが続いたことが素晴らしかった。そして、ここは勝負所と読んで撞いた縦バンクや空クッションが小気味良い位に決まっていたのも凄い。これで増田 vs 坂田は、昨年の挑戦者決定戦からアマナイン決勝を挟んでセットマッチで増田の8連勝ということになってしまった。だが、7先6先で最大点差はこの日の第1セットの7-4で、2点差が4セット、ヒルヒルが3セットだ。

見守る応援団の声援を受け、トップ女子アマの実力を遺憾なく発揮
この結果を勝負付けが済んだと見るか、逆転可能な差とみるのか。この日は力を発揮し切れなかったように見えた坂田だったが、このままで終わってしまうことなどあり得ない。恐らく両者の再戦はアマナインの準決勝か決勝になる可能性が高い。もちろん二人がそこまで勝ち上がるのが前提なのだが、二人のレベルは今のアマチュア女子の中では頭一つ抜けている印象だ。ほとんどのアマチュア全国大会に顔を出す筆者としては、両者の再戦が楽しみでならない。
On the hill!
大会アーカイブ動画:japa_YouTube