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宮下崇生が梅田竜二との直接対決を制し大会3勝目

2024.12.23

ADAM JAPAN杯 第35回全日本プロ3C選手権@東京・新大久保・KOBAYASHI -BRIGHT-

宮下はこの勝利により逆転で3年連続MVPに輝いた

JPBFの年度MVPを決定する最終決戦、『ADAM JAPAN杯 全日本プロ3C選手権』が、現在のトッププロ9名による総当たり戦という形式にリニューアルされたのは2009年のこと。以来15年に渡って続けられてきた今大会で、今年は2つの大きなトピックスがあった。

会場となった『KOBAYASHI -BRIGHT-』

一つは戦前に決まってしまっていたことだが、唯一人14大会連続出場(ネット上で記録を調べきれなかったが、前身である2008年までの『ADAM CUP』時代を含めれば記録はもっと伸びるはず)だった新井達雄が出場出来なかったこと。新井は2名抜けの最終予選5人リーグで2勝1敗1分だったものの、田中潤と鈴木剛が3勝で通過出来ず。更に言えば11月の「GLANZ戦」決勝で梅田竜二に勝っていれば、竹島欧に代わってランキング上位で出場出来ていたのだが。

【ADAM JAPAN杯歴代優勝者】
2009 梅田竜二
2010 梅田竜二
2011 梅田竜二
2012 新井達雄
2013 船木耕司
2014 田名部徳之
2015 小林英明
2016 新井達雄
2017 船木耕司
2018 船木耕司
2019 船木耕司
2020 宮下崇生
2021 宮下崇生
2022 新井達雄
2023 梅田竜二
2024 宮下崇生

もう一つのトピックスは試合を振り返った上で触れることにして、今大会の経過を見ていこう。12月21~22日(土・日)の両日、東京の『KOBAYASHI -BRIGHT-』に集った9名は、昨年優勝の梅田竜二、ランキング上位2名の宮下崇生と竹島欧、そして最終予選から勝ち上がった小野寺健容、船木耕司、田中潤、森陽一郎、鈴木剛、萩原孝昌の計9名。試合形式は40点先取の総当たり戦。2日間で40点ゲーム8戦はなかなかハードなスケジュール。ましてやトッププロ揃いで気の抜きようがないから、この大会が名実共に国内3C最強者決定戦なのだ。

9位・萩原孝昌

8位・竹島欧

7位・小野寺健容

21日の初日は計5回転。ここをまずは順調に4連勝で終えたのが、今年ランキング戦で計3勝を挙げている宮下だ。更に、梅田、船木、森の3名が3勝1敗で初日を乗り切って逆転を狙う。初日最終回転では3勝の梅田と2勝1敗の船木が激突。終盤まで梅田がリードする展開だったが、両者30点台に入ってから船木が逆転に成功して優勝への望みを繋いだ。ちなみに試合前の暫定ランキングでは、MVP争いは1位梅田、2位宮下が僅差のマッチレース。今年初頭の東京OPに優勝して3位に付けた竹島は、優勝しても梅田を抜けない状況だ。

6位・鈴木剛

5位・田中潤

4位・船木耕司

大会最終日22日は4回転。第1回転で森が宮下に、船木が竹島に敗れて2敗目。更に第2回転で森は小野寺に、船木は宮下に敗れて3敗目を喫してしまう。これで無敗の宮下と1敗の梅田による一騎打ちが確定した。両者ともに第3回転でも勝利して、決着は最終回転での直接対決に縺れ込んだ。

3位・森陽一郎

この日は競馬の有馬記念が行われ、最後の直線ゴール前では抜け出した2頭によるハナ差の大接戦から万馬券が飛び出したが、こちらは同じハナ差でも1番人気と2番人気によるガチガチ大本命対決だ。試合の序盤、宮下が10-1とジャンプスタートを決めるも、反撃に転じた梅田が11-17と逆転。中盤で24-22と宮下が再逆転に成功して終盤戦へ。そして37-30から先行の宮下が18キューで40点目を当ててガッツポーズ。梅田は裏撞きで35点まで追い上げたが届かず、宮下が大会3勝目&3年連続MVPを達成だ。

2位・梅田竜二

さてもう一つのトピックスは、宮下が『ADAM JAPAN杯』史上初めて全勝優勝を飾ったことだ。トッププロ8名を相手に勝ち切るのが至難の業なのは言うまでもない。ちなみに、昨年の梅田は7勝1分で優勝だったのだが、このドローの相手が宮下だったというのが、今大会の結果からなんとも感慨深い。

宮下は大会史上初の全勝優勝

宮下が今大会で叩き出したG.A 1.748はもちろん最高記録で、試合後の宮下に全勝優勝の感想を聞くと、「実は全勝を狙っていたので嬉しいです」と笑顔で応えてくれた。今回はライブ配信テーブルで宮下戦3試合をじっくり観ることが出来たが、持ち味のハードショットのみならず繊細なプレーにも磨きが掛かっていて、良い意味で「普通に撞けば負けない」というオーラが感じられた。

萩原戦で決めた短短長からの空クッションは、3C初心者の筆者としては思わず感嘆の声が漏れるほど衝撃的だったことを付記しておきます。JPBFの2024年公式戦はこれで終了。宮下時代はまだまだこれからも続くと感じさせられた2日間だった。さあ、いよいよ年の瀬です。2025年、国内のビリヤード界が今以上に盛り上がることを祈りつつ、筆者も陰ながら頑張っていきたいと思います。皆様、良いお年をお迎え下さい。

宮下崇生 vs 萩原孝昌(宮下の空クッションは1:17:30〜。YouTubeチャンネル『mathilda onthehill』より)

On the hill!
大会アーカイブ動画:mathilda onthehill

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