テクニカルアドバイザー・有田秀彰プロによる総評〜その②〜
第22回ビリヤード検定A級&S級課題のポイント
みなさんこんにちは。ビリヤード検定テクニカルアドバイザーで課題制作も行っているJPBAの有田秀彰です。毎回全国で老若男女たくさんの方に受検していただいて嬉しい限りです。
さて前回に引き続き、第22回ビリヤード検定の総評ということで、今回はA級とS級課題について総括させていただきます。
●A級課題総評
課題1〜4はそれぞれの配置を左右反転させたもの、ということがお分かりいただけるかと思います。それぞれの難易度はさほど高くないものの、物理的には左右が反転するだけでは変わらない難易度が、いざ構えてみるとどちらかが易しい、もしくは難しく感じることがあったかもしれません。
A級課題3・4
実際に得点分布図を見ても大きな差が現れた方もいらっしゃいます。今回の受検をいいきっかけとしてまずは自分の得意不得意を把握し、ミスの原因を解明して改善する、という習慣を身につけておきましょう。
課題5〜8に関して言えば、いわゆる「への字・くの字」の配置やいやらしいキャノンショットのような試合などでここ一番決めておきたいというような場面で遭遇する課題です。
A級課題5
得点分布図を見てみると、この中のある課題は満点でも、違う課題が0点というような極端にばらつきが見られて、出題者としては興味深くもありました。
A級課題8
私自身の経験からお伝えしますと、試合や「ここ一番!」でのショットの成功率は、それまでに同じような配置をどれだけ決めていたか、つまり成功のイメージがしっかりと浮かぶかどうかで変わってきます。その逆も然りで、いつもミスするなぁと感じるような配置は、この検定のようにシールなどを使い「全く同じ配置」を繰り返し練習することで、ショット成功イメージを脳裏に焼き付けておいてください。
課題9〜12は実戦に役立つような練習課題を出題したつもりです。取り切りに行く場面では細かい手球コントロールが要求されたり、または守りのセーフティをする場面でもきっちりと隠せるようにしたいところです。
A級課題10
それと普段ナインボールやテンボールばかりプレーしている人には「エニーボール」の種目もやってみて欲しいと思います。実際にエニーボールをプレーすると、「フリや組み立ての大切さ」よりが理解できて、それはきっとナインやテンボールにも活きてきます。
・第22回ビリヤード検定A級課題(右利き用)
・第22回ビリヤード検定A級課題(左利き用)
●S級課題総評
実はC〜S級まで、全体の構成はそれぞれの配置の難易度を上げて出題している場合が多いです。今回S級で得点が取れなかった方はA級課題もぜひやってみてください。S級を受検される方は腕に覚えのある方ばかりだと思います。それは十分に承知しておりますが、今一度一つ下の級の課題をやってみて、7割クリアを目指してみましょう。意外と易しいと思っていた配置にも落とし穴があったり、自分の苦手な配置を改めて克服するいい機会になると思いますよ。
さて、まず前半の課題1〜4は単純にシュート力を問われる配置です。もちろんどの課題も難しいのはわかりますが、特に課題4のような配置に試合などで遭遇した時に、セーフティではなくシュートで決めることもできるという選択肢を持っているとまた違う気持ちでその配置と対峙できると思います。
S級課題4
課題5〜7はテンボールなどではコールショットを必要とされる配置です。これらも課題1〜4と同様にシュート力で試合展開を打開していくと、観る人も盛り上がるような場面です。また課題8のセーフティはオーソドックスな手球、的球コントロールの配置と言えます。全体的には得点が取れていなかったようですが、この受検を機にオーソドックスなセーフティの練習もしておいてください。
S級課題5
S級課題8
課題9〜12はクッションの状態をどれだけ読めるか、というところが問われてくる課題です。これらの課題をプレーする前に課題8までで何度もショットしているでしょうから、ある程度はクッションからの手球の動きもイメージできるのではないでしょうか? 逆に言えば、それまで全くショットしていない状態でこのような配置が回ってくると、さらに難易度が高い課題となってしまいます。
S級課題9
とはいえ、今までの経験や知識、はたまた直感などを総動員して構え、最終的には自分を信じてショットするしかありません。試合などで勝つには特に信じ切るメンタルも重要な要素です。
・第22回ビリヤード検定S級課題(右利き用)
・第22回ビリヤード検定S級課題(左利き用)
これまで総評ということで振り返って述べさせていただきましたが、ビリヤードをプレーしていると常に新しい課題、その時の自分のレベルにあった配置を練習する必要が出てきます。ただ、あまり「練習しなくては」という義務感ばかりでテーブルに向かうのでは苦しくなってしまいますので、時には仲間と楽しくプレーしたり、試合に遠征したり、また試合も勝ち負けだけではなく、その時にしか味わえない経験を得るチャンスだと思って参加してみてはいかがでしょうか?
そして試合の結果とはまた違った要素で全国のプレイヤーと比較できたり、得点や結果表によって自分を客観視できる「ビリヤード検定」を受検していただけたらと思います。きっと貴方の今後の活躍にお役に立てると信じております。
●Information
有田秀彰プロは現在、アマチュア選手でもトッププロでも共通している「上達するに当たっての考え方」にフォーカスしてリアルタイムのリモートレッスンを開催中。
トーナメントプロとして厳しい戦いの中で培った経験と、有田ビリヤードスクール校長として、これまで数多くのプレイヤーを指導してきたノウハウを融合した、主に中上級者を対象とした今までにないレッスンとなっています。詳しくはこちらをチェック!
●レッスンの主な内容
1)ビリヤードを上達していく上で大切な考え方
2)今のレベルにあった練習方法
3)試合を想定した普段の取り組み
4)メンタルコントロールの方法