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竹中寛が7戦ぶり8度目の西GP制覇! 翌日のイベントは神箸渓心がV!

2024.05.28

グランプリウェスト第2戦@愛知・ダマデノッチェ、マーシー、JIN

竹中は昨シーズンの全日本ローテーション以来、1年2ヵ月ぶりの優勝

西日本グランプリ(以下、西GP)でプロとして優勝するのは年齢制限の呪縛があるのかもしれない。
少なくとも、ここ10年間。20代のチャンピオンが誕生した記憶がない。ただ1つの例外を除いて。
神箸渓心(現JPBA)が2年前、アマチュア時代に優勝を果たしていて、これは20年を超えるグランプリウェスト(前身の西日本プロツアーを除く)の歴史の中で、今もなお“唯一”となるアマチュア優勝。当時21歳での快挙だった。

決勝会場となった『ダマデノッチェ』

5月26日(日)に愛知県東海市の『ダマデノッチェ』(予選は名古屋市『JIN』『MARCY』併用)で『グランプリウェスト第2戦』が開催された。フォーマットはお馴染み定型のテンボール8ラック先取(ベスト16以降は7先)のワンデートーナメント。14組に分かれて行われた予選通過者に前回優勝シードの北谷好宏とスポンサーシードの森村雅一を加えた16名によるファイナルトーナメントが夕方にスタートした。

今回の特筆は三重の織田賢人と兵庫の金澤蒼生の高校2年生アマチュアコンビ。しかも、この日は織田賢人を追いかけたテレビドキュメンタリー『超無敵クラス』の2回目の放送日で、その内容が2人のライバル関係にもスポットを当てているというミラクル。その2人が揃ってベスト16入りを果たしたのだからまさにナイスショット。
さらに2人は揃ってベスト8入りを果たす。ここで織田は佐藤正行に敗れて、金澤も和田敏幸に敗れて、肩を並べて仲良く5位タイフィニッシュという結果に。しかし見る度に強くなっている16歳コンビは、間違いなく日本プール界の希望。

揃ってベスト8に入った織田(右)と金澤

そしてここで名前が挙がった佐藤は今年プロ復帰を果たしたばかりだが、1度目のプロ時代であった2015年には、『北海道オープン』とグランプリウェストでファイナリストとして名前を残すプレイヤー。和田敏幸もまた2016年にグランプリウェストで優勝経験を有し、アマチュア時代には3期にわたる『名人位』など数々のタイトルを取った実績を持つ実力者。

この2人が準決勝では、佐藤は竹中に及ばず3位タイフィニッシュ、そして和田は注目株が多い九州未勝利組の1人能勢勇作に勝利して決勝戦進出を果たした。結果、竹中寛(52)と和田敏幸(44)の決勝戦となり、ファイナル平均年齢は48歳で、高校生コンビのジャスト3倍の数字となった。

3位タイ・佐藤正行

3位タイ・能勢勇作

こうして始まった竹中と和田のファイアナルは、先行する竹中を和田が追いかける展開となり、竹中が5-4リードで終盤を迎える。終盤は互いにファイナルならではのミスも出て、予測が難しい展開となった。しかし、終わってみれば竹中。結果論にはなるが、ミスが致命傷になっていない点が、「必要な場面は取り切っていた」という結末に。

表彰式後にコメントを求めると「やっぱり優勝は嬉しいですね。しかも今回は久しぶりのファイナル(注:昨年の全日本ローテーション・優勝から14ヶ月、グランプリウェストでは19ヵ月ぶり)だけに喜びも大きいです」と語った竹中。この勝負強さとビリヤード愛の深さには、まだまだ時代が続く予感をさせた。

準優勝・和田敏幸

今大会では、竹中の勝負強さが光った

そして翌日の27日(月)。平日ながら西GPの後祭り的なイベント・トーナメントが開催された。これは『ダマデノッチェ』専属である森村プロの奔走もあり、企業や個人の協賛を得て実現したもので、地理的な事情で参加は東海と関西のプロに限られる結果となったが、プロ選手としては『ボーナス・ステージ』さながらのイベントとなった(16人枠がフルに埋まったが、当日の体調不良があり15名が出場)。

初のイベントに勝ったのは23歳の神箸渓心

結果、初戦で前日のチャンピオンを撃破した神箸渓心が、そのまま駆け上がり、決勝戦では好調・稲川雄一を倒して優勝。スヌーカーで鍛えたショット力、そして常に冷静なゲーム運びが光る一日となった。公式戦とは異なる賑やかな環境と真剣勝負が同居する空気の中、見事なプレーで堂々の戴冠劇だった。「決勝戦の父(神箸久貴・JPBF)の声(映像配信用のフリートーク解説)は全部聞こえてきました(笑)」と、集中を遮る要素も多々あったが、最高の結果に「アマチュアの時に優勝した、このダマデノッチェさんでまた勝てて嬉しいです」と笑顔で締めくくった。そんな神箸渓はまだ23歳。世界挑戦にも期待が寄せられる。

なおこの日の真剣勝負と和やかムードが同居する様を伝えるにあたり、前日のグランプリウェストで催された『引き球選手権』と『スピードガンコンテスト』もお伝えしておかねばならない。北谷英貴プロの司会で進められ、場内は文字通り大爆笑の渦に包まれていた。プロの妙技と絶妙なトークが入り混じり、そこにギャラリーも参加できる究極のエンタメ。こちらは開催店の意向で取り入れられたものだが、個人的にグランプリウェストの目玉イベントとして継続開催を望むところ。

イベントベスト4。左から3位タイ・山川英樹、優勝・神箸渓心、準優勝・稲川雄一、3位タイ・杉原匡

こうして2日間を過ごした愛知県。グランプリウェストにおいては、竹中、北谷、そして今年前半を通じて復調気配で既に2度のファイナル進出で注目を集める川端聡というビッグネームが並ぶ。3人の平均年齢は50を超えるが、揃って今なお強い。ただし。

彼らの初優勝は、全員がそれぞれ20代の時で、今振り返れば、層が厚い先輩の壁をぶち破ったところがスタートラインであったとも窺える。以降、20年以上にわたり「トッププロ」と呼ばれる活躍。西GPの次戦は7月に佐賀で『全日本女子プロツアー』との併催が決まっていて、壁を破る新星が誕生するのか、はたまた厚い壁がそれを阻むのか要注目だ。

Akira TAKATA

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