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世界最大級のビリヤードトーナメントと世界戦略

2024.03.28

JOY CUP The 12TH HEYBALL MASTERS Grand Finals@中国・秦皇島

3月16日〜4月3日までの19日間の日程で、世界73ヵ国から480名のビリヤードプレイヤーが集結し、優勝賞金500万元(約1億円)をかけて競う世界最大級のビリヤードトーナメントが開催されている。

『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の大井直幸が国際招待選手の1人として参戦中のこの大会名は『乔氏杯第十二届中式台球大师赛全球总决赛』(JOY CUP The 12TH HEYBALL MASTERS Grand Finals)。主催するのは開催地である中国河北省の地級市(※)秦皇島に本拠を構える世界的なビリヤード企業の『Qinhuangdao JOY Billiards Group』(JOY)。そして、ここで戦われるのは通常のプールでもなく、キャロムでもスヌーカーでもない『HEYBALL』(ヘイボール)という種目だ。
(※中国の行政区の単位で、省と県の間に相当する都市)

Heyは中国語で「黒」を意味し、直訳すれば「黒球」となるこの種目は、「チャイニーズエイトボール」として中国で最も親しまれているビリヤードで、その名の通り、基本的なルールはプールのエイトボール。しかし専用のテーブルはプールテーブルとはポケットサイズも形状も大きく異なり、戦略や戦術も通常のプールとは大きく変わってくるゲームだ。

現在の日本ではほぼプレーされていない種目だが、JOYはこのチャイニーズエイトボールの世界的な普及を目指して12年前にこの大会を立ち上げ、行政、メディアとも連携を深めながら中国国内だけでなく世界的な認知度のアップとプレイヤー人口を増やす活動を続けてきた。

そして昨年12月、JOYは『国際オリンピック委員会』(IOC)に加盟する『世界ビリヤードスポーツ連合』(WCBS)傘下で、世界のプールを統括する『世界プール協会』(WPA)と3年600万ドルの契約を交わし、ヘイボールの名で世界大会をWPA公認の種目として開催する権利を得た。

WPAとの契約にはヘイボール世界選手権の開催も含まれている

さらに大きな動きは、今大会最初の予選段階であるステージ1終了の翌日22日に行われた盛大なオープニングセレモニーの席上でも発表された。中国国内で報じられた情報によると、JOYの創立者であり、会長兼CEOの喬元旭氏は「JOYは今大会を契機に世界のいくつかの主要なビリヤード協会と協力し、オリンピックを夢見て力を合わせていく」と語ったとのことだ。

実際、2025年に中国・成都で開催される『第12回ワールドゲームズ』では、正式競技となっているビリヤード3種目であるプール、キャロム、スヌーカーの内、プールの中に男女テンボールの他、ヘイボールのミックスダブルスが採用されており、開会式では『国際ワールドゲームズ協会』(IWGA)のヨアヒム・ゴッソウCEOから成都大会でのヘイボールの成功を祝うビデオメッセージが披露されたとのことだ。

成都大会オフィシャルサイトにはすでにヘイボールの名がある

また開会式には、WCBSのイアン・アンダーソン副会長、WPAのイショーン・シン会長、『国際ビリヤード&スヌーカー連盟』(IBSF)のムバラク・アルカヤリン会長ら、世界68の国と地域から集まった他のビリヤード協会の代表者たちも出席していたという。

このように今大会の開催だけでなく、世界のビリヤードシーンの中で大きな存在となってきたJOYとヘイボール。今回はその概要をお伝えするだけにとどまったが、明日は、現在中国在住で今大会にも出場した『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の佐藤千晶プロからいただいた大会の規模を感じさせる現地からの情報をお届けする。

JOY Heyball Masters Events

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