土方隼斗が4度目の関西制覇!
第35回関西オープン@大阪・マグスミノエ
昨年の男子MVPが好スタート
関西レディースオープン(昨日に既報)と時を同じくして『第35回関西オープン』が開催された。滑り出しから話が逸れて恐縮だが、スピンオフなエピソードを紹介させていただきたい。
今大会参戦のために大阪を訪れた土方隼斗(2023年日本ランキング1位)が、ホテル近くの老舗ビリヤード場へ練習に行き会計時に「学生さん?」と聞かれ「一般です」と答えた。と、自身のSNSから発信をして、SNS上を大会の前夜祭さながらに賑わせていた。確かに30代半ばのトッププロに「学生さん?」とは、全角度から話題性盛りだくさんだ。
決勝会場となった『マグスミノエ』
そんな土方が予選から快調に駆け上がった。初日は34得点に対して19失点という内容の4勝0敗で決勝ベスト16に残る。決勝日も初戦から強豪アマの林秀忠、栗林達をともに5点に抑えて準決勝へ進出を果たすと、羅立文、竹中寛を撃破して勝ち上がってきた仕上がった感のある杉原匡と対戦。ここでも土方はスタートから6連取のダッシュを決めて9-2のスコアで決勝進出を決めた。本大会での土方の決勝進出は4度目で、過去3回とも優勝を飾った実績を持つ。
3位タイ・杉原匡
反対の山でもドラマが繰り広げられていた。プロ4年目の川上善広が、自身の公式戦最高成績のベスト16の壁を破って大躍進。津堅翔、鈴木清司という名手を連破すると、準決勝では地力の高さで勢いのある若手プロアマを捌いてきた川端聡と対戦。そして金星を挙げ、遂には頂上決戦にたどり着いた。
3位タイ・川端聡
また川端にベスト8戦で敗れたが、高校1年生の金澤蒼生が師匠の竹中寛と並ぶ5位タイフィニッシュ。今大会でプロ4人を倒す活躍を見せ、昨秋の全日本選手権に続いてベストアマを受賞。楽しそうに試合をする姿も師匠譲りで、難球にも迷いを見せない腹を括った様子には、今後も期待をせずにはいられない。
期待のジュニア、金澤蒼生が堂々のベスト8
ここまでチャンスをことごとく生かして取り切ってきた川上だったが、さすがに初の決勝戦、しかも日本一の土方が相手では重圧がかかったか、僅かな誤差が出始める。一方の土方は流石に舞台慣れした様子で、ジャンプショットや空クッションを決めての取り切りなど、王者の風格を見せ8-0のスコアでリーチをかけた。この土俵際に⑦でチャンスを得た川上が3球を取り切って意地を見せたが、反撃はこの1ポイントに終わった。そして土方が2年連続の日本一に向けて好スタートを飾った。
開幕戦で準優勝という大躍進を見せた川上は、プロ入り直後にコロナのパンデミックが訪れたため「実質2年目という気持ち」で臨む今シーズン。「ずっと緊張はしていたけれど、戦い抜くというモチベーションは保てました。そして心の技術という部分で去年より出来た実感があります」と、今大会を通じて得られた実感を言葉に紡いだ。
準優勝・川上善広
また「最後まで試合を経験できたことで、これからの練習で意識しないといけないことにも気づけました」と、貴重な体験に大きな収穫を得た様子で、今後の期待を感じさせた。
大会4勝目を挙げた土方は、金曜日にジャカルタ(インドネシアオープンに参戦)から関西国際空港に戻ってきたというハードスケジュール。
「このスケジュールや疲れを言い訳にしない、甘えを捨てて戦う。そう決めて試合に臨みました。世界を狙うには、もっと厳しい条件での試合もあるので、この気持ちを貫けたことが良かったです。
そして最高の結果を得られたことは本当に嬉しいですね」。
土方はハードな日程をものともしない強さを見せた
そんな地に足がついたコメントにも爽やかな笑顔と澄んだ瞳のオマケ付き。なるほど、「学生さん?」と聞いた人に共感。
国内外でトピックスの多いシーズンになると予想される2024年。熱いバトルでシーンが盛り上がることに期待が寄せられる。
Akira TAKATA