土方隼斗が7年ぶりに3度目のMVP獲得
2023年JPBA男子プレーバック
土方隼斗
2023年のJPBA男子のランキング対象公式戦は、全国のプロが対象となる全日本選手権とその他オープン戦と、東日本、西日本の各ブロックのプロが対象となる東西グランプリ、全日本ポケットビリヤード選手権の計21試合が行われた。ここでは、女子同様に久々のフルスケジュールとなったシーズンを振り返る。
男子プロの開幕戦は、女子プロと同じく1月27日〜28日(土・日)に大阪府大阪市の『マグスミノエ』で開催された『第34回関西オープン』。久々の開催となったこの大会、トップランカーが次々と姿を消す中、決勝は飯間智也とジュリアン・セラディラの対戦になり、中盤までの競り合いを抜け出したセラディラが嬉しいプロ初優勝を果たした。
ジュリアン・セラディラ
3月19日(日)には開幕戦と同じ『マグスミノエ』において『第72回全日本オープンローテーション選手権大会』が開催された。同大会の開催も4年ぶりで今年はJPBAの『西G3』という位置づけとなった。300点先取のシングルイリミネーションで戦われたこの大会は、竹中寛と黒田裕介が決勝に進出。2人の戦いは接戦となったが、終盤で逆転した竹中がそのまま黒田を押し切り、大会初優勝を遂げた
竹中寛
4月15日〜16日(土・日)、東京・池袋の『ビリヤード・ロサ』を会場に開催された『第39回関東オープン』。エントリー上限の200名が参戦したこの大会を制したのは小川徳郎。嶋野聖大との準決勝に勝った小川は、決勝戦で鈴木清司と対戦。終始リードを保つ展開で勝利し、2019年以来のプロ通算3勝目を挙げた。
小川徳郎
5月20日〜21日(土・日)には東京・池袋の『ビリヤード・ロサ』で『第51回全日本14-1オープン選手権』が開催。年に1度の14-1を種目とする公式戦には117名が出場。この大会の決勝は羅立文とルーキーの神箸渓心の対戦になり、終盤まで激しく競り合う展開を神箸が制し、プロ初優勝を果たした。
神箸渓心
JPBA男子の後半戦は7月15日〜16日(土・日)に愛知県名古屋市の『マーシー』で開催された『第28回東海グランプリ』でスタート。昨年よりも50名以上エントリー数が増加し、202名で戦われた大会を制したのは大井直幸。海外を主戦場としている大井は今季のJPBA公式戦初出場であったが、決勝で同期の土方隼斗を破って優勝し、その強さを改めて見せ付けた。
大井直幸
9月16日〜18日(土〜月祝)には『ニューピアホール』を決勝会場(予選は『ビリヤード・ロサ』、『バグース川崎店』、『バグース新宿店』、『ポイントサンビリ荻窪西口店』、『CUE』、『Link西川口店』)に『第36回ジャパンオープン』が開催。この大会の決勝戦は、昨年今大会を初制覇した飯間智也とフィリピントップの一角であるデニス・オルコロの対戦となり、オルコロの追撃をかわして飯間が見事連覇を達成した。
飯間智也
10月21日〜22日(土・日)、『第34回北陸オープン』が、富山県富山市の『ネッツスカイドーム』特設を決勝会場に開催(予選は石川県、富山県の複数ビリヤード場)。この大会では、今季準優勝が続き、優勝のなかった羅立文が準決勝で2024年にプロデビューする林武志を下して決勝に進出すると、決勝戦ではこちらも今季初優勝を目指した吉岡正登に勝ち、北陸オープン初制覇を果たした。
羅立文
11月22日〜26日(水〜日)にかけては、『寬仁親王牌 第56回全日本選手権国際オープン』が兵庫県尼崎市の『あましんアルカイックホール・オクト』特設会場を舞台に開催された。
シンガポールのアロイシウス・ヤップを始め、世界で活躍する海外プレイヤーが集結する中、土方隼斗がそのヤップを準決勝で下して、自身初めての決勝戦へ。台湾の呂輝展との決勝は途中大きくリードを奪う展開ながら惜しくも逆転負けで準優勝。それでもこの時点で、2023年のMVP獲得を確実なものにした。
土方隼斗
東日本ブロック、西日本ブロックに分かれて開催された東西グランプリは、西日本が5戦、東日本が7戦開催された。
東本ブロックのグランプリイーストは第1戦から3戦連続で土方隼斗が優勝し、グランプリMVPの最有力候補となったが、第2戦から3戦連続で準優勝していた羅立文が、勝負のかかる第6戦、第7戦を制して最終的に土方を40ポイント差で逆転し、3年連続でMVPを獲得。
羅立文
西日本ブロックは、グランプリウエスト第1戦で浅野正人が優勝すると、第4戦まで、田中雅明、北谷好宏、原口俊行が優勝し混戦となったが、第5戦を制した北谷好宏が、全日本オープンローテーション選手権優勝の竹中寛を抑えて、西日本ランキング1位となった。
北谷好宏
東西ブロックと全国大会の戦績を合わせた結果、2023年のMVPには、2016年以来3度目の獲得となる土方隼斗が輝いた。
2024年は、ワールドプールシーンもさらに大きく変化していくことが予想される中、土方を筆頭にしたJPBA男子プロが国内でどのような戦いを見せていくのか。まずは開幕戦の関西オープンから注目していきたい。
写真/On the hill!、Akira TAKATA