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河原千尋が年間MVPを取り戻す

2023.12.29

2023年JPBA女子プレーバック

河原千尋

『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)が主催し開催される女子プロビリヤードの公式戦。今年は久々に年間を通してフルスケジュールが消化されただけでなく、新たな大会も加わり盛り上がりを見せた1年となった。ここでは2023年に行われた公式戦を一挙振り返る。

女子プロの開幕戦は、1月28日〜29日(土・日)に大阪府大阪市の『マグスミノエ』で開催された『第21回関西レディースオープン』。この大会にはエントリーは57名がエントリーし、ナインボール、勝者ブレイク、ベスト16からは7ラック先取で戦われ、決勝で平口結貴を下した小西さみあが、2019年3月の『全日本女子プロツアー』以来となる公式戦2勝目を飾った。

小西さみあ

3月11日〜12日(土・日)には『全日本女子プロツアー第1戦』が、女子プロツアー初開催となる大阪府藤井寺市の『FJD HUSTLER』で行われた。51名がエントリーしたこの大会を制したのは栗林美幸。プロ初の公式戦ファイナルに登場した奥田玲生に競り勝ち、2019年8月以来の公式戦勝利を果たした。

栗林美幸

4月15日〜16日(土・日)には東京・池袋の『ビリヤード・ロサ』にて『第31回関東レディース』が開催(予選は複数会場併用)。大会連覇を狙う久保田智子と、前戦優勝で勢いに乗る栗林美幸の戦いとなった決勝戦は序盤の競り合いから抜け出した栗林が勝利。『全日本女子プロツアー第1戦』に続く公式戦連勝を果たした。

栗林美幸

 

5月13日〜14日(土・日)には、女子プロツアー初開催となる千葉県千葉市の『BEEP』を会場に『全日本女子プロツアー第2戦』が開催された(予選は『スクラッチマニア』『トリガー大久保』併用)。河原千尋、平口結貴、栗林美幸、小西さみあと実力者がベスト4に勝ち上がってきたこの大会。決勝は関西レディースオープンの再戦となる小西 vs 平口となり、ヒルヒルの大激戦の末に平口が勝利。2022年の女子MVPが今季初優勝を果たした。

平口結貴

 

5月にはもう1試合、27日〜28日(土・日)の日程で『第34回大阪クイーンズオープン』が、マグスミノエを会場に開催された。前戦優勝の平口結貴がこの試合でも順調に決勝まで勝ち上がったが、その前に立ちふさがったのが河原千尋。決勝戦は互いに譲らぬ熱戦となったが、ヒルヒルで迎えた最終ラックで平口がブレイクスクラッチ。残りを取り切った河原が、2020年3月以来の公式戦優勝を果たした。

河原千尋

 
 
6月17日〜18日(土・日)には、愛知県名古屋市の『名城』(予選は『春岡クラブ2』併用)において『全日本女子プロツアー第3戦』が開催された。ベスト4に勝ち残ったのは全て公式戦優勝経験のある、河原千尋、栗林美幸、久保田知子、青木知枝となり、決勝は河原vs栗林の対戦となる。この試合は序盤から栗林が流れを掴み7-1のスコアで勝利し、今季3勝目を挙げた。

栗林美幸

 

JPBA女子の後半戦は7月15日〜16日(土・日)に、愛知県名古屋市の『マーシー』(予選は『オークランド春日井』)で開催された『第23回東海レディースグランプリ』。ランキング2位の平口結貴が海外遠征で不在の中、ベスト4には小西さみあ、光岡純子、山内公子、佐藤麻子が勝ち上がる。決勝はJPBA女子ブロック長でもある光岡を下した小西が、開幕戦に続く今季2勝目を挙げた。

小西さみあ

 

8月19日〜20日(土・日)には神奈川県横浜市の『POOL LABO』(予選は『アロウズビリヤード』併用)にて『全日本女子プロツアー第4戦』が開催された。この大会では、2024年にルーキーとしてデビューする谷みいながそのポテンシャルを発揮して3位タイに入賞。決勝は河原千尋と平口結貴の対戦となり、このゲームを制した河原が今季2勝目を手にした。

河原千尋

 
 
9月17日〜18日(日・月祝)、秋の大一番である『第36回ジャパンオープン』が『ニューピアホール』を結晶会場に開幕(予選は『ポイントサンビリ荻窪西口店』、『CUE』)。今季女子最多の86名がエントリーした大会は、梶谷景美 vs 青木知枝の決勝戦となり、最後の最後までわからないヒルヒル戦を戦い抜いた青木知枝がジャパンオープン初制覇を達成した。

青木知枝

 

ジャパンオープンの2週後の9月30日〜10月1日(土・日)、初開催となる『第1回 MEZZ 京都女子オープン』が、京都府京都市の『ヒューリックホール京都』特設会場で開催された(予選は『プールブロウ』と『サンク』)。台湾の陳佳樺が参戦するなど注目度が高く80名がエントリーしたこの大会。決勝戦はどちらも今季3勝目を狙う河原千尋と小西さみあの対戦となり、終盤まで拮抗する展開から抜け出した河原が、大会初代チャンピオンとなった。

河原千尋

 
ラスト2戦となった女子、10月21日〜22日(土・日)にかけては、4年ぶりに『第34回北陸オープン』が、富山県富山市の『ネッツスカイドーム』特設を結晶会場に開催(予選は石川県、富山県の複数ビリヤード場)。ベスト4からとなった特設舞台に登場したのは、ベテランの曽根恭子、山内公子と、期待の若手、奥田玲生、村松さくら。決勝戦は実績豊富な曽根とプロ公式戦初ファイナルの村松の戦いとなり、大きく先行されながらも冷静で正確なプレーで逆転を果たした曽根が、第1回北陸オープン以来の大会2勝目を挙げた。

曽根恭子

 
2023年の最終戦は11月24日〜26日(金〜日)にかけて、兵庫県尼崎市の『あましんアルカイックホール・オクト』特設会場を舞台に開催された、こちらも4年ぶりとなる『寬仁親王牌 第56回全日本選手権国際オープン』。台湾、韓国、シンガポールなどから強豪プレイヤーも参戦する中、決勝戦はともに準決勝で韓国プレイヤーを下した河原千尋と平口結貴の対戦となった。

平口が先行し河原が追う展開となった試合はヒルヒルとなり、セーフティからチャンスを得た河原がそのまま悲願の全日本初制覇を達成するかに見えたが、痛恨の③ミスでターンを平口に渡してしまう。緊張がマックスとなる中、丁寧に取り切っていった平口が、最後の嫌らしいチャンピオンシップボールを沈めて、初の決勝進出にして、見事に全日本初制覇を達成した。

平口結貴

こうしてJPBA女子の2023年シーズンは、全12戦を消化して終了。MVPには、中盤から終盤にかけて調子を上げてハイアベレージな戦いを続け年間3勝を挙げた河原千尋が輝いた。

2022年は4月からの5試合にとどまったJPBA女子だったが、今年は倍以上となる数のトーナメントを開催。河原千尋、平口結貴、栗林美幸らのトップ勢がその強さを発揮したのはもちろん、コロナ禍で試合経験を積めずにいた、小西さみあ、奥田玲生、村松さくらなどの若手の台頭もあり、実に見ごたえのあるシーズンとなった。進化を続ける女子プロ達による、2024年の開幕戦『第22回関西レディースオープン』が今から待ち遠しい。

写真提供/On the hill! 

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