2023年アマチュア全国タイトル戦プレーバック

『公益社団法人日本ビリヤード協会』（NBA）並びに『日本アマチュアポケットビリヤード連盟』（JAPA）が主催として開催するアマチュアポケットビリヤードの公式戦。ここでは、その中でも全国のアマチュアプレイヤーが憧れ、目標とする全国タイトル戦を中心に、2023年を振り返ってみたい。

NBA主催の全国タイトル戦は、3月26日（日）の東京・池袋の『ビリヤード・ロサ』を会場に開催された『第23回学校対抗ナインボール選手権大会』からスタート。今年は11校が出場し、決勝で帝京大学を下した山形大学が優勝。その翌月30日（日）には同会場で『JOCジュニアオリンピックカップ 第23回全日本ジュニアナインボール選手権大会』が行われた。この大会には、東北、関東、中部、関西、沖縄の各地区からの9名に前回大会優勝シードの織田賢人を加えた10選手が出場し、決勝で谷みいなを下した金沢蒼生が初優勝を果たした。

金澤蒼生

JAPAが主催する全国タイトル戦は、ナインボールで争われる『女流球聖戦』でスタート。今年も大阪の『マグスミノエ』を会場に、4月8日（土）に『第14期女流球聖戦 挑戦者決定戦』、翌9日（日）『女流球聖位決定戦』が7ラック・4セット先取のフォーマット行われ、現女流球聖の梶原愛が終始安定したプレーを見せ、初の女流球聖挑戦となった井上直美を4-0で下して2度目の防衛を達成した。

梶原愛

4月22日〜23日（日）には千葉県の『Anything』で『第31期球聖戦 挑戦者決定戦』と『球聖位決定戦』が開催され、23日の球聖位決定戦は稀に見る大激戦となった。現球聖の小宮鐘之介と、10年ぶりの球聖位挑戦となった持永隼史の7ラック・5セット先取の戦いはフルセットのヒルヒルにまで及び、YouTube Live の同時視聴者数が2900人を突破する中、小宮が勝利し、第29期から3期連続で球聖位を保持することになった。

小宮鐘之介

6月11日〜12日（土・日）の2日間に渡っては、JAPAに所属する連盟員だけに出場が許されるローテーションを種目とした『第57回全日本都道府県対抗ポケットビリヤード選手権』が和歌山県和歌山市の『ビッグホエール』特設会場で今年も盛大に開催。関係者も含め300名近い関係者が集結した都道府県別の5対5によるチーム戦は、決勝で和歌山チームを下した沖縄チームは9年ぶり2度目の戴冠を果たした。

沖縄チーム

都道府県対抗の2週間後の6月25日〜26日（土・日）には、NBA主催の『全日本アマチュアナインボール選手権大会』が、日本プロポケットビリヤード連盟（JPBA）が主催する『全日本選手権』の会場でもある兵庫県尼崎市の『あましんアルカイックホールオクト』特設会場で行われた。A級、女子級、B級の3部門で行われた本大会は、A級・小宮鐘之介、女子級・梶原愛、B級・氏家崇雄がそれぞれ優勝。A級、女子級をともに現球聖、現女流球聖が制するという快挙が達成された。

左から氏家崇雄、梶原愛、小宮鐘之介

9月11日（日）、JAPA主催の全国タイトル戦の中でテンボールを種目とした『第24回マスターズ』が開催。この大会の決勝は、2023年の全国タイトルをすでに2つ獲得していた小宮鐘之介とトップアマとして『大阪ローテーションクラブ』（ORC）で長く活躍しながらも、全国タイトルを手にしていなかった吉岡保俊の対戦となった。この試合は序盤は小宮がリードを取ったが、吉岡が小宮のミスから得点を重ねて勝利。ORCに久しぶりの全国タイトルをもたらした。

吉岡保俊

　
9月24日（日）、ローテーションを種目とする『第62期名人位決定戦』が現名人・喜島安広のホーム、埼玉県上尾市の『セスパ東大宮』で開催された。喜島はこれまで3期連続で防衛中、通算在位は5期という絶対王者。対する挑戦者はこれまで喜島と数々の激闘を繰り広げてきた広島の大坪和史。300点・5セット先取がフォーマットのこの試合も10時間を超える大熱戦となったが、フルセットの末に喜島が防衛に成功。これで名人在位は通算6期に達し、第10～15期名人の中原正夫に並ぶ歴代2位の記録となった。

左から喜島安広、大坪和史

10月に入るとまず7日〜8日（土・日）に、NBA主催の『第21回 全国アマチュアビリヤード都道府県選手権大会』（佐賀国スポ記念大会）」が佐賀県佐賀市の『session』（ポケットの部）と福岡県北九州市の『淡路』（キャロムの部）を会場におこなわれた。A級、女子級、B級の3部門で行われたポケットの部では、A級・林武志、女子級・谷みいな、B級・上野正治が優勝し、キャロムの部では田中亮一が優勝。ポケットの部の林、谷はその後、12月6日に行われたJPBAプロテストに合格し、2024年からはプロプレイヤーとして新たな一歩を踏み出す。

左からA級・林武志、女子級・谷みいな、B級・上野正治

左から3位タイ・亀井日出夫、準優勝・三戸雅之、優勝・田中亮一、3位タイ・本松良

10月14日〜15日（土・日）には、JAPAが主催する全国タイトル戦中、唯一B級以下のプレイヤーで争われる『第21回全国シルバースターカップ』が、大阪開催。ナインボール・5ラック先取で争われた大会は、決勝で大竹一樹を下した駿河忍が優勝。タイトルを獲得するとともにA級昇格を果たした。

駿河忍

JAPA主催のアマチュア全国タイトルの2023年最終戦は、11月4日〜5日（土・日）に愛知県名古屋市の『名東スポーツセンター』特設会場で開催された『文部大臣賞 第70回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会』。アマローテの通称でも知られるこの歴史ある大会は、ローテーションを種目にA級、女子級、B級の3部門で戦われ、A級・杉本優太、女子級・谷みいな、B級・今城貴仁が優勝を果たした。A級優勝の杉本も決勝で戦った吉岡保俊と同様、長らくトップアマとしてプレーしてきたが、これが嬉しい全国タイトル初制覇となった。

左から、A級・杉本優太、女子級・谷みいな、B級・今城貴仁

NBA主催の2023年最終戦となった『第10回日本学生ナインボール選手権大会』は、11月19日（日）『あましんアルカイックホール・オクト』を会場に『ジュニアクラス』（小中学生の部）と『学生選手権クラス』（高校・大学の部）の2つのカテゴリーで開催された。計37名のジュニアプレイヤーが晴れの舞台で戦い、学生選手権クラスは織田賢人、ジュニアクラスは齊藤進之助が優勝を果たした。

ジュニアクラス入賞者。左から3位タイ・高橋暖斗、準優勝・栗林宥、優勝・齊藤進之介、3位タイ・藤田万葉

学生選手権クラス入賞者。左から3位タイ・浜津、準優勝・新免和真、優勝・織田賢人、3位タイ・越田卯市

小宮鐘之介・梶原愛夫妻による全国タイトル2冠達成、2024年からはJPBAプロとして戦う日本期待の若手プレイヤー、林武志、谷みいなのタイトル奪取、ベテラントップアマの初タイトル獲得など、話題も多く盛り上がった2023年のアマ公式戦。2024年はJAPA主催の『第32期球聖戦』と『第15期女流球聖戦』からスタートする。

写真提供／JPBA、JAPA、On the hill!