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山口栄司が念願のタイトル奪取! 大橋清孝は3年ぶり2度目の準優勝

2023.12.04

第22回JPBAシニアオープン@京都・サンク

山口は決勝でJPBAプロを下して優勝

12月3日の日曜日。年末の恒例行事にもなった『JPBAシニアオープン』が、58名の参加資格を有する選手(50歳以上のプロアマ男女)が京都市伏見区の『サンク』(予選は『VAMP』併用)に集い開催された。本大会は21年前に創設され、多少の出場条件等に変遷はあるものの、関西をはじめ東海北陸四国を中心とした「撞球同窓会」の色合いが濃い。

会場となった『サンク』

ただしシニアといえ、まだまだ元気な選手が多く、目を見張る好プレーを拝む機会も少なくない。
今回はベスト32の回転で宮城雅央アマ(元JPBA)が、相手のオープニングブレイクノーインから取り切り5連続マスワリという記録を打ち立てた。60個連続のポケットインには「ハイラン賞(笑)」の声も。

3位タイ・宮城雅央アマ

また試合に臨むスタンスも十人十色で興味深い。まだまだ現役感たっぷりに勝敗に拘る姿勢の選手もいれば、参加自体を楽しむ雰囲気の人も。そしてこの大会ではプロアマの肩書きがほとんど差異や線引きの意味合いを持たない。それ以上に年齢差が30歳以上という対戦もあるので、ベテランにしてもまだ「大先輩」が存在するのが醍醐味といったところ。およそ全員に共通しているのは、『出来配置』になった時に見せるスピーディーさと安定感。この辺りは経験値に基づく知識と技術の高さに由来するものだろう。

3位タイ・中口恒彦アマ

さて、今年もベスト16から本戦会場に集合して頂点を目指す戦いが繰り広げられた。このシングルで気を吐いたのは、昨年3位入賞を果たしている山口栄司(ボンバークラブ)で、ベスト16、ベスト8をともに完封勝ちで昨年に続く準決勝進出を決めた。

また最も注目を集めていたのは大橋清孝。元来持ちあわせる手球のコントロールに拘った様子で、足取りも軽く仕上がった印象で準決勝に進むと、前出の同じく仕上がった感のある宮城と対戦。ここは宮城に軍配が、と誰もが思ったところで「まさか」が起こって大橋が決勝進出を決めた。山口も好調を維持した感触で地元の中口恒彦を下して初ファイナルへ駒を進めた。

ファイナルは見ごたえのある戦いに

決勝戦ではタイプの異なる山口と大橋の対戦が興味深く見守られた。大橋の細かい撞点に由来する緻密な組み立ては、コンビショットの残し球やいわゆる「当てネキ」の配置作りなどでも見せ場が多い。ただここに来て惜しいシュートミスが見られたのは、さすがに朝の開始から13時間以上経過しているので体力的にもキツくなったのか。一方の山口はロングの球も嫌う様子を見せず、腹を括ったショットを黙々と繰り返し球を沈めていく。相手のプレースタイルに影響されない芯の強さが見え隠れしていた。

準優勝・大橋清孝

2-2まで五分の綱引きとなった決勝戦だったが、両者が⑥を譲り合って山口が得点すると、次ラックでマスワリを決め王手をかける。4-2と山口リードで迎えた第7ラック。難解な配置を巧みにこなした大橋が1ポイントを返す。と、思われた場面で⑧がカタカタで万事休す。

山口が最後まで自分のプレースタイルを貫いて初優勝を飾った。表彰式後にコメントを求めると「狙っていたと言うと大袈裟ですが、獲りたいと思ってチャレンジャーとして来ました。応援してくれたみんなに感謝です。これからも全力でビリヤードを、全力で人生を頑張ります」と締めくくった。ビリヤード歴約30年。ひとつの集大成にビリヤードへの情熱も一段と深まった様子。

これからも全力!

なお本大会は来年からは出場資格を55歳に引き上げることが決まっている。とはいえ、55歳だと現役第一線で活躍する選手もまだまだ多い年齢なので、この資格変更がどのような影響をもたらすのかは、来年の現場であらためて確認したいところ。出場された皆さん。来年も元気にお会いできるのを楽しみにしています!

Akira TAKATA

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