Fargo Rate(ファーゴレート)、世界と日本
最先端のプレーレベル判定システム基礎講座②
北米を中心に130ヵ国、約30万人のプレイヤーが登録している、世界最先端とも言えるプールのプレーレベル判定システム「ファーゴレート」。ここでは、前回の基礎知識を踏まえた上で、現在の世界と日本の状況、またレーティングとプレーレーベルの関係、さらにはファーゴレートを使った適正ハンデなどについて紹介していきます。
世界の男女トップ20
ファーゴレートの最も大きなポイントは、全世界のプレイヤーを統一基準で評価できること。下は11月29日時点での男子のワールドトップ20をまとめたものですが、男子1位のジョシュア・フィラーから20位の大井直幸まで、ロバストネス(RB)が3桁以下の呂輝展、ジェフリー・ロダ、カイル・アモルトの3名を除いて、およそ現時点での強さが正確に表されています。
ただし、その3名についても、トッププレイヤーとの対戦データが反映されていることで、現時点でもある程度の信頼性があると考えられます。また、全日本選手権で数多くのトッププレイヤーと対戦して優勝した呂輝展のレーティングが大会前の726から一気に822に上がりましたが、ここには、ファーゴレートの即時性がよく表れています。
一方の女子トップ20についても、男子と比べると総じてロバストネスの数値は低いですが、現在の力関係が反映されたランキングになっています。その中で注目なのは、河原千尋、栗林美幸、平口結貴のJPBA女子勢が3名ランクインしている点。特に世界のトップ8に入っている河原は、レーティング上では、現時点でいつ世界を獲ってもおかしくないプレイヤーということになります。
JPBAランキング男女トップ10
上が10月末時点での男子トップ10、下が女子トップ10ですが、前回も紹介した通りファーゴレートには、主に欧米を中心としたトーナメント結果が反映されるため、現段階ではJPBA勢のレーティングの信頼性は低い傾向にあります。ただし今回、4年ぶりに開催された全日本選手権のデータが反映されたことで、海外プレイヤーとのデータ的な繋がりは増え、個々のプレイヤーのロバストネスの数値はアップしています。
今後もし、JPBAランキング対象公式戦のデータが即時取り込まれるようになれば、JPBAプロのレーティングはさらに信頼性の高いものになっていくと考えられます。
ファーゴレートと適正ハンデ
上はファーゴレートが発表しているレーティングとプレーレベルの目安です。世界と日本のプロだけでなく、これを日本のクラス分けに即した現状に置き換えると、大まかに言えば700以上がプロ〜SA、600以上がSA〜A、500以上がA〜B、400以上がBとなるでしょう。
また、ファーゴレートは個々のプレイヤーのレーティングがはっきりとしたポイントとして表れるため、お互いにレーティングを持っている場合には、プレーする前からその実力差を認識できて、トーナメントの際にも主催者はプレーを見ることなくレベルを把握することができる点も大きな特徴の1つ。そのため、登録プレイヤー数が最も多い本家のアメリカでは、すでにアマチュアリーグ戦やトーナメントで、ファーゴレートを使用したハンデ設定が幅広く行われています。
ファーゴレートでは、独自のアルゴリズムによって、100ポイントの差があるごとに、高評価の選手は低評価の選手の2倍の実力を持つことになると定義していて、これを基にどのような実力差でも両方の勝率が1:1になる公平なハンデ設定ができるとしています。上の表がそれで、例えばレーティング500のBクラスプレイヤーがレーティング400のCクラスと9ラック先取のゲームを行う場合は、9-5もしくは9-4が適正になると判断しています。