FargoRate(ファーゴレート)って何?
最先端のプレーレベル判定システム基礎講座①
Web CUE’Sでは、10月のUSオープンから、主に国内、海外トーナメントのトピックスに登場するプロプレイヤーの表記にこのファーゴレート(例FR:800)を加えています。簡単に言えばこの数値が高ければ高いほど「強い」プレイヤーだという1つの指標なのですが、ここでは改めて、このファーゴレートとは一体どのようなものなのかについて、2回に渡って紹介していきます。
ファーゴレートとは?
記録やタイムなどによる強さの絶対的な尺度がない対戦型競技のプールにおいて、様々なレベルのプレイヤーの対戦による「勝敗」を尺度として、そのデータを積み重ねることによって、相対的な個々のプレイヤーの強さを数値で判定するのがファーゴレート。
現在北米を中心に130ヵ国、約30万人のプレイヤーが登録している、世界最先端とも言えるプールのプレーレベル判定システムで、日本でも今年から、このレーティングを採用したアマチュアリーグ『JAPAN
CSI POOL LEAGUE』(JCL)がスタートしています。
全日本選手権に出場したプレイヤーの中で最も高いレーティングを持っていたのはアロイシウス・ヤップの830(現在は831)
このシステムの元になっているのはチェスのレーティングのために考案され、現在ではサッカーのFIFAランキングにもアルゴリズムとして採用されている「イロレーティング」で、これをプールに応用しています。
ファーゴレートの具体的な数値の算出方法はブラックボックスなのですが、大まかに言うと、数値は、同じレーティングのプレイヤー同士の予想対戦勝率を1:1として、得点差による予想勝率を係数として数学的な計算を行って導き出されます。そして、対戦結果によって変動するレーティングは、直接の対戦はもちろん、対戦経験のあるプレイヤーが他のプレイヤーと対戦した結果も随時反映されて、更新されていきます。
ただし、そのシステムの性格上、登録プレイヤーの対戦データが多ければ多いほどその数値は信頼性を増していくのですが、当然ながらデータが少ない時点では不安定となります。そのためファーゴレートではレーティング確立の最低の目安を200ラックとしています。
この信頼性を数値として表しているのが「Robustness」(ロバストネス)で、 その数値が高ければレーティングの信頼性が高く、低ければまだ不安定さがあるということになります。
日本人プレイヤーで最もロバストネスが高いのが大井直幸
全日本選手権前に日本人プレイヤーとして最も高いレーティング817を持っていた大井直幸のロバストネスは7763で、801で2位の羅立文は3625、799で3番目の土方隼斗は3100。恐らく自動的に収集されている対戦データは海外戦がメインのため、海外での試合経験が少ないJPBAプロ、プロ歴の浅いプロのロバストネスは現状では低い傾向にありますが、今後は徐々に信頼性が高まっていくと考えられます。
全日本選手権後、土方隼斗のレーティングは799から801に上昇
そして、全日本選手権は国際オープンとしてWPAランキング対象試合であったこともあり、終了後にデータがファーゴレートに反映され、大井直幸は817(ロバストネス7908)、土方隼斗は801(ロバストネス3409)、羅は799(ロバストネス3890)にレーティングが更新されています。
……ということで、次回はファーゴレートとプレーレベルの相関関係について、ワールドトッププレイヤーからファーゴレートを使った適正ハンデなどについて紹介していきます。